2020.11.10
先生より
理学療法学科教員の佐藤です。私は今年の3月まで、病院に勤務し臨床業務に就いていました。新人の頃、というとかなり遠い記憶にはなりますが、それでも忘れられないエピソードについて2つ、今回はお話させていただきたいと思います。
1人目の患者様とのエピソードは、骨折し入院した方で、受傷前は運動経験がほぼ無く恐る恐るながらもひたむきにリハビリに取り組まれていました。
私自身経験が乏しかったため、当時の先輩方に色々とアドバイスをいただきながら必死に担当させていただきました。
退院の際、思いがけずその方からお手紙をいただきました。
両足で大地を踏みしめて歩けることの喜びを感じています、という内容の事柄が書かれていました。
この時に私は、患者様がご自身の目標を達成できることは、私自分が考えていたよりもずっと重みのあることなのだと気づきました。
そして、もっと知識や技術を高め、患者様へ還元していかなければならないとより一層意識を高めるきっかけとなりました。
2人目の患者様とのエピソードは、進行性の疾患の方で、自分の無力さを日々感じながらも患者様に対し何かできることはないかと模索しながら担当させていただきました。
最終的には入院中にお亡くなりになり、その後ご家族がリハビリ室へご挨拶に来てくださりました。
感謝の意を伝えてくださるご家族に対し、何と答えたら良いのかわからず、ただひたすら頭を下げたような記憶があります。
その後上司に、「こんな時はどう答えたら良かったのでしょうか?」と聞きましたが、正解はないのかもしれませんが、どんな答えも適切ではないような気がしてしまい、複雑な心境でした。
ただ、限りある時間の中で患者様の思いを汲み取って寄り添う、という点において、もしかするともっとやれることがあったのではないか、違う関わり方があったのではないか、と、自身の未熟さや視野の狭さを見つめなおすきっかけとなりました。
この理学療法士、という仕事には、それぞれに異なる対象者の生活・人生に対して、無数のアプローチの仕方や関わりがあります。
それゆえに何年経験しても学ぶことがたくさんありますし、昨日は知らなかった事を今日は知っている、ということの積み重ねは楽しいと思いませんか??
喜びや苦労も様々経験していける、とても魅力のあるやりがいのある仕事だということをお伝えできたら良いなと思い、書かせていただきました。
グループ校