理学療法士の手

理学療法学科教員の土手です。理学療法士は日々患者様と向き合い、患者様に理学療法(リハビリテーションの一部)を提供しています。

 

 

 

患者様を観察し(視覚情報)、言葉をよく聴き(聴覚情報)、理学療法のためによく触ります(触覚情報)。全て、患者様のよりよい生活のためですが、患者様の身体状況を理解するためには、優しく丁寧に触る「理学療法士の手」がとても重要になってきます。

 

 

 

 

 

 

患者様に対して理学療法をする中で、何度かお会いした方の身体状況は、例え一週間空いたとしても、触ると改善しているのかどうか、経験を積んでいくなかで理解できるようになります。

 

 

 

理学療法士は素晴らしい職業で、患者様に直接アプローチすることで、直接感謝されるやりがいのある仕事です。

 

 

 

ある患者様の理学療法を継続していく途中経過で、何度も何度も患者様を「理学療法士の手」で触ります。経験を積んでいくと、触っただけでも改善しているのが分かります。その瞬間もやりがいを感じる嬉しい瞬間のひとつとなります。

 

 

 

 

 

 

自分でできる理学療法は患者様自身にもしていただきますが、するべき自主的理学療法をしていただき、患者様自ら改善した結果を「理学療法士の」で感じられるのは大きい喜びとなります。

 

 

 

日リハは実技系の授業がとても多いので、臨床現場に出るまでに「理学療法士の手」が育っていきます。学生には自分の手が、「専門家の手」に成長していく過程も楽しんでいただきたいと思っています。

 

予防のためのリハビリテーション

理学療法学科の高瀬です。皆さんのリハビリのイメージはどのようなものでしょうか?

 

 

おそらく多くの方は、

 

・ケガをした人が回復できるようにお手伝いをする

 

・歩けなくなってしまった人を再び歩けるようにする

 

といった内容をイメージするのだと思います。

 

 

 

実際一度落ちてしまった機能を回復させることはリハビリの大きな役割です。ひとまずここでは、これらを『障害・病気に対するリハビリ』と呼ぶことにしましょう。

 

 

 

ただ、我々セラピストに求められる役割はそれだけではありません。

 

 

骨折してしまった方、動けなくなってしまった方の機能を回復させるためのリハビリ以外に、骨折しないためのリハビリ、動けなくなってしまわないようにするためのリハビリも存在します。

 

 

これらを『予防のためのリハビリ(予防リハ)』と呼ぶことにします。

 

 

 

具体的には・・

 

 

通常、患者さんは、転倒→骨折→リハビリの流れになるわけですが・・

 

 

【転倒】自体を予防する身体づくりのためのリハビリをして、骨折→リハビリの流れそのものをなくしてしまおう、というものです。

 

 

下の写真は、とある勉強会の参加者の運動体験の様子です。参加者は、病院で勤務する看護師さん、薬剤師さん、栄養士さん等です。

 

 

 

 

足腰を効率的に鍛えるための正しいスクワットを理学療法士(PT)である私が各職種の皆様に伝えて、各職種の皆様が病院で接する患者さんにそのスクワットを指導する。

 

 

こんな流れを期待した勉強会です。

 

 

薬局でただ薬を受け取るだけではなく、同時に効率的な正しい運動方法も教えてもらえたらよくないですか?

 

 

 

こうして地域の医師・看護師・薬剤師・栄養士・介護士・理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)などが協力して『予防リハ』に取り組むこともあるのです。

 

 

今回のこのお話から、リハビリのセラピストとして『人の役に立つ』方法は決して1つではなく、いろいろな角度から色々な方法で人の役に立てるのだということを分かっていただけたら嬉しいです。

 

空の匂い、海の息吹

今回は、とある一冊の本を紹介します。タイトルは「空の匂い、海の息吹」。

 

 

空の匂い、海の息吹(翔泳社)

 

 

 

著者はレベッカ・レイノルズさんという方で、この本が出版された1997年当時、アメリカのマサチューセッツ州にあるトゥフツ大学(タフツ大学)作業療法修士課程に在籍しておられました。

 

 

 

 

 

内容は、障がいのある方や様々な理由により心を閉ざしている人々が、遠い日の記憶や人間本来の自然の感覚を取り戻してゆきながら、自身の持つ無限の可能性について気が付いていく、そういう活動を紹介した本です。

 

 

日本でも「作業療法士」として働いていくと、様々な障がいをお持ちの方々と出会います。

 

 

資格を取って間もないころの仕事は、対象者の方が日々の生活で困っていることがあれば、その生活がよりスムーズにいくように援助させていただいたり、また具体的な身体能力の回復や精神機能の回復などのリハビリをさせていただいたりします。

 

 

でも、本来の作業療法は、

 

 

“ OCCUPATIONAL THERAPY ”

 

 

と言われ、様々なことを治療に用いることができますので、この本に出てくる内容も立派な作業療法です。

 

 

実際に、アメリカの教科書の表紙には、「自然の生命力」を感じさせるようなイラストが描かれています。

 

 

Occupational Therapy in the Promotion of Health and Wellness(F.A. Davis Company)

 

 

 

作業療法の世界では、こういう「自然と人間の関係」また、そういう関係を通して人間が癒されること、治療となることを、まじめに語っていい場所がありますので、興味のある人はぜひ門戸をたたいてみてください。

 

 

作業療法学科昼間部学科長 手塚雅之

 

 

 

【関連リンク】

 

空の匂い、海の息吹(翔泳社)

 

Occupational Therapy in the Promotion of Health and Wellness(F.A. Davis Company)