視覚障がい者の体験実習

皆さんこんにちは。理学療法学科昼間部教員の鍋城です。今回は日常生活活動学のある授業について話をさせていただきます。

 

 

「視覚障がい者の体験実習」

 

 

視覚障がい者とは視力がまったくないか、視覚機能が弱く、かつメガネやコンタクトレンズなどで矯正しても視力や視野狭窄の状態がある一定以上は復活しないため日常生活や就労などで支障をきたす人のことです。

 

 

授業で、視覚をバンダナ等で遮断し視覚障がい者の体験を学生にしてもらいました。普段何気なく移動している校舎内や学校前の道路も、視覚を遮断することで普段とはことなる情報を得ることができたようでした。

 

 

 

 

学生からの意見としては、

 

〇耳(聴覚)が敏感になる

 

〇花や木の匂い(嗅覚)で場所を判断するようになる

 

〇光(日光)は太陽光の熱により感じることができる

 

〇介助者に何も言われないと不安になる

 

 

等がありました。

 

 

介助者付きで行っていましたが、道路の車道側と歩道側のどちらを歩いているかわからずに、「車が来るよ」との声掛けに車道に出そうになる学生もいました。

 

 

実際に体験することで分かることも多く、和やかに行いながらも色々と発見もあったようです。

 

 

 

 

皆さんは下記のようなシンボルマークを知っていますか?

 

 

 

 

このマークについて内閣府HPでは

 


 

 

白杖を頭上50cm程度に掲げてSOSのシグナルを示している視覚に障がいのある人を見かけたら、進んで声をかけて支援しようという「白杖SOSシグナル」運動の普及啓発シンボルマークです。

白杖によるSOSのシグナルを見かけたら、進んで声をかけ、困っていることなどを聞き、サポートをしてください。

※駅のホームや路上などで視覚に障がいのある人が危険に遭遇しそうな場合は、白杖によりSOSのシグナルを示していなくても、声をかけてサポートをしてください。

 


 

 

 

と記載されていました。このSOSシグナルの普及については賛否があるようですが、このシグナルを出している方は間違いなく助けてほしい方です。もし見かけたら声を掛けていただきたいと思います。

 

 

お恥ずかしい話ですが、自分は学生に言われるまでこのシグナルについて知りませんでした。その学生は実際にこのシグナルを出している方を見かけ、声をかけサポートしたとのことでした。

卒業生とのつながりの強さ~臨床実習前のOSCE

みなさんこんにちは。作業療法学科昼間部学科長の近野です。今日は、作業療法学科昼間部3年生の「OSCE(オスキー)」の様子についてお伝えします。

 

 

OSCE(オスキー、Objective Structured Clinical Examination)」は、客観的臨床能力試験のことです。日本では、医学部、歯学部、薬学部において臨床実習を行う臨床能力を身につけているかを試す実技試験として行われています。また、近年他の医療系の学科(看護、リハビリテーション等)においても、多くの大学で行われるようになりました。

 

 

臨床実習とは、病院や介護老人保健施設等で、現場の指導者の指導のもとで、患者さんを担当して評価、治療を行うものです。したがって、学生といえども、直接患者さんに触れたり、話をしたり、検査や治療を行うため、それに相応しい技能や態度を身につけていなければなりません。

 

 

 

 

みなさんも、学生がご自身やご家族の担当になったということを想像してみてください。きちんとした知識と技術、態度が身についている学生ならば協力してもいいなと思えるけれども、そうでない学生に評価や治療を行って欲しくないでしょう。

 

 

日リハでも、長期の臨床実習が始まる前の3年次に作業療法学科も理学療法学科もOSCEを行っています。

 

 

作業療法学科昼間部では6月~7月にかけて、毎週金曜日の午後、OSCEを行っています。内容は、臨床実習で行う基本的な7種類の検査(関節可動域測定や筋力検査など)の実技試験です。

 

 

 

 

患者役の学生(クラスメイトや理学療法学科の4年生)や卒業生に対して、15分程度で検査を行い、それを教員がチェック項目に従って評価を行い、フィードバックを行います。

 

 

最終回のOSCEはよりリアルな臨床実習を想定して行いました。患者役はリアルな患者を演じることができる卒業生にお願いし、評価者は臨床実習指導者の目線で評価を行う卒業生1名と教員1名がチームとなって行いました。

 

 

普段クラスメイトと実技練習を行っていても、いざ臨床場面となると、緊張してしまい状況に合わせた行動が取れなかったり、検査に集中するあまり、リスク管理が疎かになったりするものです。

 

 

臨床実習では、そのような状況が起こりうるということを学生が体験を通して気づくということも、OSCEの大きな利点です。

 

 

また、患者役の卒業生や評価者役の卒業生のひとつひとつの言葉は、学生にとって非常に心に響きます。このような体験を通して、学生は、患者さんの立場に立って、患者さんの安全に配慮しながら行動することの大切さと、難しさを痛感することができるのです。

 

 

最終回のOSCEでは、9名の卒業生と臨床実習指導者に協力して頂きました。臨床業務でお忙しい中、わざわざ休みを取って来て頂きました。この場を借りてお礼申し上げます。

 

 

 

 

このように、たくさんの卒業生が学校教育に尽力して下さるのも、日頃の学校や教員とつながりの強さの顕れではないかと思います

保健領域の理学療法で感じる事

みなさんこんにちは。理学療法学科夜間部学科長の鈴木です。今回は私が現在携わっている保健領域の理学療法について、感じたことを話したいと思います。

 

 

そもそも理学療法士が働く現場は、病院やクリニックなどの医療現場や介護老人保健施設、通所リハビリテーション施設、訪問リハビリテーション施設などをよく耳にすると思います。では保健領域とはどのような領域を指すのでしょうか。

 

 

簡単には言えば健康産業になってしまいますが、高齢者や障がい者など日常の生活活動だけでは身体の機能が衰えてしまい、生活や身体の健康に影響が出る可能性がある方に、運動する機会を作り健康を保とうとする取り組みになります。

 

 

代表的なものには各市区町村が取り組んでいる事業として、身体活動を促進するための健康体操やレクレーション活動などがあります。これらの対象者は高齢者が多いため、みなさんが参加したことはないと思いますが、お住まいの広報などでもよく掲載されているので参考にしてください。

 

 

このような保険事業の中で私が携わっているのが、身体障がい者を対象としたものになります。

 

 

身体障がいの状況は人によって異なるので、個別に運動プログラムを立案します。そして、そのプログラムに沿って運動を行ってもらうことで身体状況の維持改善を図り、また日常生活での問題にも対処していこうとするものです。

 

 

この活動に10年以上携わり感じることが2つあります。

 

 

1:一つは身体に障がいを負ってしまう病気や怪我が、いかに多いかといことです。

 

私がこの事業で携わった方は、脳卒中や脳性麻痺、神経難病、脊髄損傷などの方が多いのですが、時には30年理学療法士をやってきて初めて耳にする病気もあり、いかに沢山の病気が存在するかを実感します。

 

 

2:二つ目は、身体に障がいを負った方は、適切な運動を続けていないと身体機能が低下しやすく、また歩き方なども悪くなりやすいということです。

 

適切な運動を行う目的には、身体のコンディショニング(状態を整える)と運動の感覚入力(動き方など)があるのですが、運動を続けていないと筋肉が伸ばされたり緩む機会を失い体が固くなったり、動きやすい方法でしか動かないことで本来の動き方を忘れ偏った体の使い方になり、さらに動きにくくなるなどの悪循環があります。

 

 

この事業での運動が終了してしばらくした後にお会いして、その歩容の変化に愕然としたことが何度かあります。身体に障がいを持っている方は、自身の身体を良好な状態に保つために運動を継続するなど、自己管理をしていただく必要があるのですが、なかなか日常生活でこれらの意識を持って運動を継続できる方は少ないと感じます。

 

 

だからこそこのような保健事業を含めた地域リハビリテーションや地域包括ケアシステムが必要とされています。

 

 

理学療法は医療のイメージが強いですが、その職域は保健や福祉の領域に拡大しています。医療現場で働く理学療法士を目指している方たちも、是非他の職域や現場を見る経験をしてみてはいかがでしょうか。その経験は必ずあなたの視野を広め成長につながるでしょう。