デイサービスでのお仕事

こんにちは。理学療法学科の塚本です。今回は、私の臨床業務先であるデイサービスでの仕事についてご紹介します。

 

 

あまり聞きなれないかもしれませんが、“デイサービス”とは“通所介護”の通称で、自宅から施設に通いながらQOL(生活の質)向上を目指す介護サービスのことです。

 

 

 

 

利用日数は利用者さんにより週1~5日と異なりますが、他の利用者さんと交流をしたり、食事・入浴といったサービスの他、機能訓練も受けられるのが特徴です。

 

 

私が関わっているのはこの“機能訓練”です。

 

 

注:“リハビリ”とは微妙に異なって、理学療法士が関わっているかどうかは施設により異なります。

 

 

利用者さんの人数や新規or常連さんかどうかは日により異なりますが、内容は主に以下の3つです。

 

 

〇 個人にあった運動プログラムの立案、修正

(時間があれば実際に運動してチェック)

 

 

〇 定期的な身体機能の評価

 

 

〇 お悩み相談

 

 

 

ぱっと見、病院で行っていることと変わりませんが、大きく異なる点がいくつかあります。

 

 

 

【1.理学療法士が直接関わる頻度が少ない】

 

 

私がデイサービスに行くのは月に数回、つまりプログラム立案はするけれど、

 

 

①実施はスタッフさんにやってもらう

 

 

②なにかあってもすぐフォローできない

 

 

…のです。

 

 

ですからこの場合、テクニックを要するプログラムはNGで“誰でも”できて“再現性がある”ことが大切です。

 

 

 

また、負荷が強くて翌日痛みが起きてしまっても対処できないので、運動の設定は利用者さんの状態を見極める必要があります。

 

 

 

難しくはありますが、うまくプログラムを組めると歩けなかった方が歩けるようになったり、介助量が減ったり…と効果は明らかなので、やりがいはあります。

 

 

 

 

 

 

【②様々な状態の利用者さんがいる】

 

 

私の通っている施設では常時20人前後の利用者さんがいらして、なにか疾患を抱えている方も少なくありません。

 

 

〇 手術をして昨日退院したばかり

 

 

〇 手足が麻痺して動かない

 

 

〇 肺炎後で全身体力が落ちている

 

 

〇 脳腫瘍で徐々に症状が進行している

 

 

…など。

 

 

 

このため、様々な疾患について把握しておく必要がありますし、病院と違ってレントゲン写真や検査データもないことが多いので予想して対応しなければいけないこともあります。

 

 

ですから、どんな状況でも利用者さんが満足する結果をだせるよう、日々の準備が大切だと改めて感じます。

 

 

 

また、パズルをしている間は運動拒否される、お風呂の前だったら運動してくれる、など利用者さんにより好み、こだわりも異なるので個人にあわせた工夫も必要です。

 

 

 

 

“Aさんは機械運動が好きだからこちらに誘導して…”

 

 

“Bさんは評価をしてから平行棒で…”

 

 

“あ、Cさんはもうすぐ入浴時間になるから先に声をかけないと…”

 

 

 

…など毎回頭をフル稼働させています(笑)。

 

 

限られた時間で結果を出すというプレッシャーはありますが、今日はどんな利用者さんがいらっしゃるのか、あの利用者さんはお元気だろうか、など私も毎回楽しみにしています。

 

 

以上、デイサービスでのお仕事紹介でした。

 

高齢社会と作業療法

皆さんこんにちは。作業療法学科教員の松生です。

 

 

 

少し前になりますが、2020年9月現在、我が国の65歳以上の高齢者の割合が総人口の28.7%と発表されました。さらに100歳以上の高齢者の人数は8万450人との発表もありました。

 

 

 

そのような高齢社会に伴い、社会問題の一つとして懸念されていることに認知症高齢者の増加があります。

 

 

 

平成29年度高齢者白書によると、2012年は認知症患者が約460万人、高齢者全体の15%でしたが、2025年には5人に一人、つまり高齢者人口の20%が認知症になるという推計もあります。

 

 

 

 

「認知症に対するリハビリテーション」というと、代表的には以下のようなリハビリがあげられます。

 

 

◆歌を歌ったり、楽器を演奏したりしながら行う「音楽療法

 

 

◆計算や音読などを利用し学習を行う「学習療法

 

 

◆過去の回想し、思い出を語り合う「回想法

 

 

◆土いじりや水やりなどを通して草花と触れ合う「園芸療法

 

 

◆ゲームやクイズなどを集団で行う「レクリエーション療法

 

 

◆歩いたり、体操をしたりなど体を動かす「運動療法

 

 

etc.

 

 

 

 

 

では、作業療法士が行う「作業療法」とは、いったい何をするのでしょう?

 

 

 

実は、上述しているすべての手法・特性を活用し、その人に合ったやり方で働きかけを行うことができる職種になります。

 

 

 

ある人には、音楽を利用し、ある人には回想法を用いる。またある人には、陶芸や編み物など作品作りを通しての作業活動を行うなど、その人らしさの実現に向けて、リハビリテーションを行う、そんな職業でもあります。

 

 

 

 

 

作業療法は「心」と「身体」の両側面でアプローチしていくと言われますが、とても奥深い職業で、これからの高齢社会では、さらに必要とされています。

 

 

 

作業療法という仕事は、まだまだ知名度も認知度も低いと感じますが、一方で今後さらに需要が高まる職業と考えられます。

 

 

 

 

イラスト:看護roo!

 

質の高いリハビリに欠かせない事

理学療法学科の高瀬です。

 

 

 

今回は、質の高いリハビリを実施する上で絶対に欠かせないものについて考えてみます。

 

 

皆さんは何が必要だと思いますか?

 

 

『知識』

 

 

『技術』

 

 

 

これらは専門家として当然必要ですよね。でもこれだけで質の高いリハビリは提供できません。

 

 

それ以外に必要なもので一つ例を挙げるとすると

 

 

『コミュニケーション力』

 

 

です。

 

 

 

現代はスマホ1つあれば、メールで世界中の誰とでもコミュニケーションが取れる時代です。

 

 

 

でも、メールによるコミュニケーションが、

 

『コミュニケーション』=『お互いの意思・感情を伝えあうこと』

 

 

という本来のコミュニケーションの目的を果たせるでしょうか・・

 

 

 

相手の表情やしぐさ、声のトーンや口調といった視覚情報や聴覚情報などあらゆる感覚から入力される情報を分析しなければ、相手の感情などわかりません。

 

 

 

本当の意味での『コミュニケーション』をとるには、メールではなく相手の目の前にして徹底的に相手と向き合わなければなりません。

 

 

 

理学療法士は徹底的に患者さんと向き合ってコミュニケーションをとらなければ、患者さんの感情や想いなんてわからないということになります。

 

 

 

そして、それが分からなければ、理学療法士と患者さんが同じ目標を持って、信頼関係のもとで質の高いリハビリを施行することなど不可能です。

 

 

 

患者さんの本当の想いが反映・考慮されていないリハビリなんて、質が高いとは言えないし、そもそもそんなリハビリはおかしいですよね?

 

 

 

教員である私も、学生と徹底的に向き合ってコミュニケーションをとることで、学生それぞれの考えや想いを知り、それを踏まえて学生が成長できるような指導と手助けを日々意識しています。

 

 

今回例に挙げた『コミュニケーション力』以外にも

 

 

『他者の気持ちを考える力』

 

 

『場の空気を読み取る力』など

 

 

一言で言えば、

 

 

『人間力』

 

 

が理学療法士には欠かせません。

 

 

 

『知識』『技術』の指導はもちろんのこと、

 

 

この『人間力』を身に着けて、

 

 

『理学療法士として』さらには『人として』学生の皆さんに成長してほしい・・

 

 

 

そんなこと願いながら学生指導を行う毎日です。