卒業生とのつながりの強さ~臨床実習前のOSCE

みなさんこんにちは。作業療法学科昼間部学科長の近野です。今日は、作業療法学科昼間部3年生の「OSCE(オスキー)」の様子についてお伝えします。

 

 

OSCE(オスキー、Objective Structured Clinical Examination)」は、客観的臨床能力試験のことです。日本では、医学部、歯学部、薬学部において臨床実習を行う臨床能力を身につけているかを試す実技試験として行われています。また、近年他の医療系の学科(看護、リハビリテーション等)においても、多くの大学で行われるようになりました。

 

 

臨床実習とは、病院や介護老人保健施設等で、現場の指導者の指導のもとで、患者さんを担当して評価、治療を行うものです。したがって、学生といえども、直接患者さんに触れたり、話をしたり、検査や治療を行うため、それに相応しい技能や態度を身につけていなければなりません。

 

 

 

 

みなさんも、学生がご自身やご家族の担当になったということを想像してみてください。きちんとした知識と技術、態度が身についている学生ならば協力してもいいなと思えるけれども、そうでない学生に評価や治療を行って欲しくないでしょう。

 

 

日リハでも、長期の臨床実習が始まる前の3年次に作業療法学科も理学療法学科もOSCEを行っています。

 

 

作業療法学科昼間部では6月~7月にかけて、毎週金曜日の午後、OSCEを行っています。内容は、臨床実習で行う基本的な7種類の検査(関節可動域測定や筋力検査など)の実技試験です。

 

 

 

 

患者役の学生(クラスメイトや理学療法学科の4年生)や卒業生に対して、15分程度で検査を行い、それを教員がチェック項目に従って評価を行い、フィードバックを行います。

 

 

最終回のOSCEはよりリアルな臨床実習を想定して行いました。患者役はリアルな患者を演じることができる卒業生にお願いし、評価者は臨床実習指導者の目線で評価を行う卒業生1名と教員1名がチームとなって行いました。

 

 

普段クラスメイトと実技練習を行っていても、いざ臨床場面となると、緊張してしまい状況に合わせた行動が取れなかったり、検査に集中するあまり、リスク管理が疎かになったりするものです。

 

 

臨床実習では、そのような状況が起こりうるということを学生が体験を通して気づくということも、OSCEの大きな利点です。

 

 

また、患者役の卒業生や評価者役の卒業生のひとつひとつの言葉は、学生にとって非常に心に響きます。このような体験を通して、学生は、患者さんの立場に立って、患者さんの安全に配慮しながら行動することの大切さと、難しさを痛感することができるのです。

 

 

最終回のOSCEでは、9名の卒業生と臨床実習指導者に協力して頂きました。臨床業務でお忙しい中、わざわざ休みを取って来て頂きました。この場を借りてお礼申し上げます。

 

 

 

 

このように、たくさんの卒業生が学校教育に尽力して下さるのも、日頃の学校や教員とつながりの強さの顕れではないかと思います

患者様の本当の想いとは~信頼関係とコミュニケーション力の大切さ

皆さん、こんにちは。理学療法学科昼間部教員の高瀬です。6月11日に開催された日リハ同窓会主催の勉強会についてのお話です。

 

 

その勉強会でコミュニケーションについて3時間の講義をやらせていただきましたが、今回はその内容の一部についてご紹介させていただきます。

 

 

以前にもコミュニケーションの重要性について書かせていただきましたが、今回はそれを現場レベルの問題に落とし込んだものです。

 

 

理学療法士を含めセラピストは、リハビリのゴールを設定するうえで必ず『患者さんのHOPE』を聞きます。いわゆる『どうなりたいか、どうしたいかなどの患者さんの希望』と言うことになりますが、これが考慮されなければセラピスト側の一方的な自己満足のゴール設定になってしまいます。

 

 

『歩けるようになりたいです』

 

『トイレが一人でできるようになりたいです』

 

『できるだけ家族に迷惑をかけないようにしたいです』

 

 

など、様々なHOPEを患者さんから聴取することになるのです。

 

 

ここで気をつけなければならないのが・・

 

 

『患者さんの言葉』=『患者さんの本当の想い』???

 

 

と言うことです。

 

 

結論から言うと、私は必ずしもイコールにはならないと思っています。

 

 

例えば、重度の麻痺となった患者さんが本当は以前のように歩きたいと思っていたとする。でも、その状態で『歩けるようになりたい』なんて言ったら笑われちゃうかもな、と考えたため、とりあえず『トイレがなんとか一人でできるようになれば・・』と言っておく・・

 

 

こんなことがあり得ますよね?

 

皆さんは自分の本音を誰にでも話しますか?

 

信頼できる相手でなければ、そう簡単に自分の本当の想いは話さなかったりするはずです!

 

先ほどの例えで言えば、セラピストとの信頼関係が築けていれば、素直に自分の希望を話せるかもしれません。

 

 

私たちセラピストは、初めて患者さんと出会ってからできるだけ早く信頼関係を築き、できるだけ早く『本当の意味での患者さんのHOPE』を聞き出さねばなりません。
 

そして、その信頼関係は患者さんと接する中で、いわゆるコミュニケーションをとる中で築いていくしかないのです!

 

 

だからこそ、コミュニケーションスキルを習得する必要があるのです!

 

 

具体的なスキルをひとつあげるとすれば『共感』です。
共感には相手の気持ちを受け止める効果があり、気持ちを受け止めてあげる、気持ちをわかってあげることが、信頼関係構築に確実に役立つのです。
 

しかも、こちらが受け止めている、という感覚だけでは意味がありません。

 

 

あくまでも重要なのは、相手が「受け止めてもらっている」と実感できることです!

 

 

だからこそ、相手にしっかり伝わるような共感が力を発揮するのです!

 

 

このように、『患者さんの本当の想い』をしっかりと聞いたうえで、それを考慮したゴールに向けて、信頼関係が築けているセラピストと患者さんが一緒に進んでいけるようなリハビリの形って素晴らしいですよね?

 

 

今回勉強会に参加していただいた卒業生の皆さんが、このようなコミュニケーションスキルを現場で生かし、さらにご活躍なされることを願っています。
皆さんも興味があれば、一度是非コミュニケーションについて学んでみてくださいね。

理学療法学科昼間部の運動学実習〜繰り返し練習することの大切さ

実技授業の続編として昼間部と夜間部の授業の様子を、お伝えしていきますので、授業やクラスの雰囲気を感じてもらえたら嬉しいです。

 

 

運動学実習〜理学療法学科昼間部編

まずは昼間部から。理学療法学科昼間部ではこの日、立ち上がりの動作分析を行なっていました。

 

 

 

 

この「動作分析」とは、理学療法士・作業療法士にとって、大切なスキルの一つです。理学療法士も作業療法士も、正しく分析ができなければ正しい評価ができませんので、的確なリハビリテーションをすることができないですね。

 

 

この動作分析に限ったことではありませんが、理学療法士・作業療法士はたくさんの患者様をふれあうことで、たくさんの症例に出会いながら、数多くの経験を積み、セラピストとしてのスキルが向上していきます。

 

 

日リハでは在学中もなるべく多くの経験をしてもらうために、外部での実習にたくさん取り組んでいただきますが、その前に学内の授業ではなるべく多く練習する機会を設けています。

 

 

例えば、今回の動作分析の場合であれば、普段の授業でクラスメイトと交代しながらそれぞれの動作をよく見て、コツを掴む練習を何度も何度も繰り返します。

 

 

 

 

人それぞれに「クセ」ってありますよね。それと同じように個性や特徴が必ず動きの中に現れてきますので、「ここから始めに動き出す」とか「重心がこんな風に動いている」とかを見極めるために、「見る練習」です。

 

 

 

 

そして、その分析したこと(自分の頭の中にあること)を人に伝えることができるようになるために、動きを絵で描いてみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

クラスメイト同士が交代で、何度も何度も繰り返し立ち上がりの分析をする練習をしていきます。こうして4年間(実際には長期実習に行くまでの約2年半)かけて一つ一つの技術をマスターしながら、少しずつステップアップしていきましょう!