保健領域の理学療法で感じる事

みなさんこんにちは。理学療法学科夜間部学科長の鈴木です。今回は私が現在携わっている保健領域の理学療法について、感じたことを話したいと思います。

 

 

そもそも理学療法士が働く現場は、病院やクリニックなどの医療現場や介護老人保健施設、通所リハビリテーション施設、訪問リハビリテーション施設などをよく耳にすると思います。では保健領域とはどのような領域を指すのでしょうか。

 

 

簡単には言えば健康産業になってしまいますが、高齢者や障がい者など日常の生活活動だけでは身体の機能が衰えてしまい、生活や身体の健康に影響が出る可能性がある方に、運動する機会を作り健康を保とうとする取り組みになります。

 

 

代表的なものには各市区町村が取り組んでいる事業として、身体活動を促進するための健康体操やレクレーション活動などがあります。これらの対象者は高齢者が多いため、みなさんが参加したことはないと思いますが、お住まいの広報などでもよく掲載されているので参考にしてください。

 

 

このような保険事業の中で私が携わっているのが、身体障がい者を対象としたものになります。

 

 

身体障がいの状況は人によって異なるので、個別に運動プログラムを立案します。そして、そのプログラムに沿って運動を行ってもらうことで身体状況の維持改善を図り、また日常生活での問題にも対処していこうとするものです。

 

 

この活動に10年以上携わり感じることが2つあります。

 

 

1:一つは身体に障がいを負ってしまう病気や怪我が、いかに多いかといことです。

 

私がこの事業で携わった方は、脳卒中や脳性麻痺、神経難病、脊髄損傷などの方が多いのですが、時には30年理学療法士をやってきて初めて耳にする病気もあり、いかに沢山の病気が存在するかを実感します。

 

 

2:二つ目は、身体に障がいを負った方は、適切な運動を続けていないと身体機能が低下しやすく、また歩き方なども悪くなりやすいということです。

 

適切な運動を行う目的には、身体のコンディショニング(状態を整える)と運動の感覚入力(動き方など)があるのですが、運動を続けていないと筋肉が伸ばされたり緩む機会を失い体が固くなったり、動きやすい方法でしか動かないことで本来の動き方を忘れ偏った体の使い方になり、さらに動きにくくなるなどの悪循環があります。

 

 

この事業での運動が終了してしばらくした後にお会いして、その歩容の変化に愕然としたことが何度かあります。身体に障がいを持っている方は、自身の身体を良好な状態に保つために運動を継続するなど、自己管理をしていただく必要があるのですが、なかなか日常生活でこれらの意識を持って運動を継続できる方は少ないと感じます。

 

 

だからこそこのような保健事業を含めた地域リハビリテーションや地域包括ケアシステムが必要とされています。

 

 

理学療法は医療のイメージが強いですが、その職域は保健や福祉の領域に拡大しています。医療現場で働く理学療法士を目指している方たちも、是非他の職域や現場を見る経験をしてみてはいかがでしょうか。その経験は必ずあなたの視野を広め成長につながるでしょう。