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理学療法士の資格では起業することはできませんが、現在では多くの理学療法士が起業しそれぞれに活躍しています。理学療法士が起業するためのポイントをまとめました。
理学療法士は起業できるの?
理学療法士として起業するにはまず、大前提として「理学療法士には開業権がない」ことを頭に入れておきましょう。理学療法士は「医師の指示のもとに」リハビリテーションを行う仕事なので、リハビリの内容で開業することはできません。
ですが、「起業ができないか」というと、全くそんなことはありません。
「理学療法」としてサービスを提供することはできませんが、民間療法全般である整体やリラクゼーション、エステといった内容では開業することはできます。また、健康に関わる会社だったりスポーツや美容に関わる会社を作ることもできます。
接骨院・あん摩マッサージ指圧院・鍼灸院といった、国家資格である柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師が開業を許されている事業については、理学療法士が開業することはできません。ここだけしっかりと抑えておきましょう。もちろん、理学療法士と平行してこれらの国家資格をダブルで取得した場合は開業することができます。
また、介護の分野での起業も可能です。高齢化の進展に伴って、デイサービスや訪問看護ステーションへのニーズが高まっています。
デイサービスや訪問看護ステーションでは、理学療法士が関わる場面も多くあるため「こういうアプローチができればもっといい」「もっと本格的なリハビリを行いたい」と思い、起業へ踏み切る方もいます。現状維持だけでなく「治す」ことまで視野に入れ、より角度の高いリハビリを行うことができます。
介護保険サービスであれば、要介護認定を受けている利用者は介護保険が利用できるため、安くサービスを受けてもらうことができ集客しやすい分野とも言えるでしょう。
理学療法士が起業して成功するには
理学療法の仕事は「今後10年で成長する職業トップ10ランキング」で4位にランクインしており、今後ますます需要が伸びていくと考えられています。業界として上向きではありますが、だからといって必ず起業が成功するわけではありません。
理学療法士としての知識や技術以上に、経営者としてのノウハウも積み上げておく必要があるでしょう。
そのために必要なのは以下の5つです。
①実現可能な理学療法を活かしたビジネスモデル
まず、起業を目指すきっかけとなった「こういうビジネスをしたい!」というアイディアを、実現可能にすることです。
ぼんやりとした理想だけでなく、実際にマネタイズしていけるのかどうかや、ニーズがあるのかを調査したりなど、具体性を高めることが重要です。必要最小限の規模でサンプルテストを行なってみるのもよいでしょう。似たようなビジネスをしている競合会社があれば徹底的に調査し、自分のやりたいビジネスとの差別化を図る必要があります。
②優秀な理学療法士スタッフの確保
フリーランスとしての起業でない限り、人材の確保は必要不可欠です。ビジネスモデルにもよりますが、理学療法士として優秀なスタッフを確保したいですよね。理学療法士を目指す過程で出会った人や、働く上で培ってきた人脈が活かせると良いでしょう。
また、理学療法士だけでなく経営面や財務面、法務面、そして商品開発や営業など、それぞれの分野を得意とする人材が必要です。①のビジネスモデルを理解してくれる人材に出会い、起業を具体的にしていきましょう。
③事業計画の査定
順調に経営を進めていくために、綿密な事業計画の策定が必要です。どの程度の収入と支出、利益があり、会社を維持するためにはどのくらいの経費がかかるか、事業計画を策定することで明確にイメージできます。
少なくとも、月ごとの事業計画(月次計画)と年度全体の事業計画(年次計画)は必須となります。さらに、起業の対象とするビジネス分野にもよりますが、起業より3年後から5年後といった中期的な事業計画を立てることも大切です。
④資金の調達
どのようなビジネスモデルであれ、起業する上で資金の調達は欠かせません。理学療法士の起業で多くを占める「整体院」の場合は、設立費用は約700万円と言われています。「訪問看護ステーション」であれば約800万円ほどと言われています。
物件が必要かどうか・人件費や設備費をどのくらい割くか…などによってもちろん前後します。起業にいくら必要で、運転資金として最初にどのくらいは持っていた方がいいのかをしっかりと算出しておきましょう。
⑤ターゲット顧客へのアプローチ方法
起業するだけで次々と集客できた!というケースは稀です。起業前からある程度ターゲット顧客を定めておき、アプローチ方法を決めておきましょう。
アプローチ方法は、ビジネスモデルがBtoCかBtoBなのかによって大きく変わります。BtoCについては、整体院や訪問介護ステーションのように一般の方々を対象としている場合です。BtoBについては、会社向けにセミナーをしたり医療機器の仲介に入ったりなどターゲット顧客が会社である場合です。
BtoCであればSNSの活用を視野に入れたり、BtoBであれば企業と企業をマッチングさせる会に出たり直接営業をかけたりなど、やり方が変わってきます。
今後広がる理学療法士の活躍の場
複雑になる高齢者事業や、スポーツ・健康・美容分野への広がりを受けて、理学療法士の活躍の場は広がっています。社会の新しい需要を見つけ出し、会社という形にしていくことは非常にやりがいのある仕事でしょう。年収や働き方についても自分次第で変えられるため、起業を魅力に思う理学療法士は年々増えてきています。
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