介護支援ロボットの公的保険制度
2020年度に効果を見極め、介護作業の負担軽減や効率化といった効果を認めれば、21年度の介護報酬改定に反映します。
政府は介護ロボットの市場規模を20年までに約500億円に成長させる目標を掲げており、高齢化が進むなか、負担を軽減する介護ロボに関心が向かうでしょう。
関連サイト:介護ロボットの開発・普及の促進(厚生労働省)
厚生労働省は「パワーアシストスーツ」などの介護支援ロボットを公的保険制度の適用対象にする検討に入る。2020年度に効果を見極め、21年度の介護報酬改定で対象に加えるかを判断する。介護施設では人手不足や職員の高齢化が課題だ。保険の適用対象となるロボットを広げ、介護の生産性を高める。効果測定に必要な関連費を20年度の概算要求に盛り込む。介護作業の負担軽減や効率化の効果を認めれば、21年度の介護報酬改定に反映する。現在、ロボットの導入が介護報酬で加算されるのは「見守りセンサー」を導入する特別養護老人ホームなど一部に限られる。介護者の腰に着けて作業を支援するパワーアシストスーツや、要介護者の歩行を支える「アシストカート」などは、都道府県の基金を通じて導入時に1機器あたり最大で30万円程度を支給するにとどまる。
ロボットの導入を後押しする背景には介護業界の人手不足がある。介護業界で働く人は16年度時点で190万人。厚労省の試算では25年度に245万人が必要で、55万人が不足する。18年度の介護関係者の有効求人倍率は全職種の2・7倍に達し、採用難が深刻だ。介護業界はロボットによる効率化が欠かせない。
政府は15年時点で24億円強だった介護ロボットの市場規模を20年までに約500億円に成長させる目標を掲げた。ロボットが普及すれば、技術革新による単価の低下や性能の向上につながるとも期待される。
理学療法士にとっての介護支援ロボット
介護業界の人手不足問題に向き合う今回のニュースは、介護現場で働く理学療法士・作業療法士にとっては非常に関わりが深いです。
介護支援型ロボットは理学療法士や作業療法士などの療法士の肉体的な負担を軽減してくれるでしょう。リハビリ業務は自力で立ったり歩いたり出来ない人を抱えなければならず、身体的な負担から腰痛を発症することも多く、労働環境問題になっています。
肉体的に重労働な作業はロボットが担い、リハビリのアプローチ内容や指導方法を決定する場面で療法士が活躍するという仕事の棲み分けができると理想的ですね。
また、患者さんにとってもメリットがあります。時間に関係なくリハビリが行えるためです。どうしても理学療法士・作業療法士が提供するサービスには時間的な拘束があります。しかしロボットが普及すれば時間を気にせず介助をつけることができるため、安心です。
リハビリ分野で活躍するロボットは、今回保険適用が検討されている介護支援型ロボットだけではありません。患者さんの自立を促す自立支援型ロボットや、コミュニケーション型ロボット、セキュリティロボットなど、最新の技術を駆使して続々と新しいロボットが開発されています。
今回の保険適用に後押しを受け、理学療法・作業療法に関わるロボット事業がより発展すると良いですね。
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