理学療法士を目指す高校生に必要な科目と今のうちにやっておきたいこと

理学療法士を目指している高校生の多くが、「理系に進んだ方が良いのだろうか?」「文系でも理学療法士になれるのかな?」「今のうちに勉強しておいた方が良い科目はあるかな?」と、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。

そこで、この記事では高校生が高校で勉強した方が良い科目と、高校生のうちにやっておいた方が良い事をまとめます。

高校で勉強した方が良い科目

理学療法士を目指している高校生が不安に思っているであろう「文系・理系」の問題ですが、結論から言いますとどちらでも特に大きな問題はありません。

高校生のうちにしっかり勉強しておくと、理学療法士養成校に入学後役立つのは特に以下の科目です。

・国語
・数学
・理科(物理・化学・生物)
・英語
・体育

これらの科目は、理学療法士として必要な基礎知識を身につけるのに役立ちます。特に重要な科目は、国語です。意外かもしれませんが、国語は、論理的思考力を養うため、また難しい医療分野の教科書を読んだり、レポートをまとめたりするために必要となります。

また数学は、理学療法士の専門的な知識を理解するため。理科は、身体の仕組みを理解するため。英語は、研究論文を読むために必要です。体育は、運動能力を向上させるためにそれぞれ必要です。

 

 

さらに、理学療法士の仕事の中でとても大切なスキルの一つに「患者さんとコミュニケーションをとること」があります。そのため、高校でコミュニケーション能力を高めるための科目を勉強しておくと良いでしょう。例えば、英語、国語、社会科、歴史、心理学などの科目です。

理学療法士になるには、大学や専門学校で理学療法士養成課程を修了する必要があります。そのため、高校で勉強した科目は、大学や専門学校での勉強に役立ちますが、結局のところは、「進学先の大学や専門学校でどれだけ頑張って勉強できるか」がとても重要になります。

文系・理系はどちらでも構わないので、今できる勉強をしっかりやって、1日30分でも良いので机に向かって予習・復習を行い「勉強する習慣」を付けておくとよいでしょう。

コミュニケーション能力を高めよう!

理学療法士になる上で必要なことは、学校の勉強だけではありません。コミュニケーション能力を高めておくことも必要です。人と接する経験を積んでおける機会があれば、利用しましょう。

最も良いのは、部活動やアルバイトでしょう。部活動ではきちんとした挨拶ができるようになったり、チームメイトを思いやった会話ができるようになったりと人と人との関わり方を学ぶ上で最上の場だと言えます。アルバイトについては、単純作業ではなく人と接する仕事を選ぶとより良いでしょう。

スポーツジムで担当のお客さんにアドバイスをしたり、トレーナーとしてプログラムを考えたりする仕事ができるとなお良いですね。

理学療法士になると、患者さんと直接コミュニケーションをとっていくことになります。その患者さんに対して、どんなリハビリが一番いいのか。何を話すべきなのか。こういったことについて適切な判断をするために、相手の気持ちを理解することのできるコミュニケーション能力は、とても重要なのです。

患者さんとうまくコミュニケーションがとれるようになり、的確なリハビリができるようになると、患者さんの満足度が高まり、特に訪問リハビリなどでは、患者さんの口コミで評判が広がって、仕事につながっていくこともあります。

電話の対応や、挨拶の仕方、言葉づかい、メールの送り方など、社会人としてのマナーも早めに学んでおきましょう。

自分から勉強する環境を整えよう!

理学療法士は、理学療法士になってからも勉強し続ける仕事です。日々医療は進化していますし、自らの手技を高めていく必要があるからです。

変わっていく世の中に対応していく力も求められます。日本理学療法士協会は、社会保障制度論、医療経済学、栄養学、画像診断学、救急救命医学、理学療法管理学、予防理学療法学などを、新たに学習すべき科目として挙げています。今後はこのような勉強が必要になってきそうです。

そのために、養成校で学ぶカリキュラムの内容だけでなく、自分から勉強していく環境を整えておきましょう。

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理学療法士と柔道整復師は似ている?

理学療法士と柔道整復師は、どちらも専門学校等の養成校で勉強し、国家資格を取得しなければなれない仕事です。仕事内容は、患者さんに実際に接し、怪我などを「施術」または「治療」します。また、理学療法士と柔道整復師は、高齢者社会や患者さんの多様化により年々需要が増している職業でもあります。それに伴い志望者も増加傾向にあります。

以上の面では理学療法士と柔道整復師は似ている職業であり、はっきりと違いがわからない人も多い資格ですが、資格自体は全く異なるもので、行う施術や治療も違います。

どちらの資格も活躍の場としては、病院のリハビリ科や整形外科・スポーツの現場・介護予防施設などの福祉施設等々、似た場所で働くことができます。ですが、柔道整復師については開業権があり、理学療法士にはありません。そのため、将来開業をして活躍したい人、接骨院や整骨院を経営したい人は柔道整復師の資格を取得しています。

理学療法士に向いている人とは

理学療法士に向いている人は、人とのコミュニケーションが好きな人です。さまざまな患者さんやそのご家族とコミュニケーションをとる機会が多く、また医師や看護師、リハビリ職に関わる他資格の人たちとも連携して仕事をしなければなりません。人のために何かをしたいという気持ちが強く、しっかりと一人一人に向き合える人が向いています。

理学療法士は医師の診断に基づいて、リハビリプログラムを自分たちで立案し実行していきます。病院や施設、クリニックなどに所属して活躍されていく方が多い一方、近年では自分で施設を立ち上げる方や個人事業主として活躍される方も増えてきました。

また、リハビリの仕事は患者さんだけでなく理学療法士自身が実際に身体を動かして仕事を行う場面がたくさんあります。デスクワークを主とする仕事とは違い、身体を動かすことが好きな方が向いているでしょう。スポーツが得意であったり筋力がなければならないというわけではなく、あくまで身体を動かしている方が楽しいと思える方におすすめです。

柔道整復師に向いている人とは

柔道整復師は開業権のある資格なので、「こんな施術がしたい」「こんな接骨院を作りたい」などの自分で施設自体を変えていきたいという気持ちがある方は柔道整復師が向いています。もちろん実務経験を積むことは大切なのですぐに開業というわけにはいかないと思いますが、将来的に開業し、今までにない新しい接骨院を作る方や地域に貢献できる施設を開業する人が多くいます。

その他では、柔道整復師は「柔道整復術」として、人の治癒能力を利用して固定や整復といった手法を使い治療を行います。ですので、手先が器用であることも必要です。包帯を巻いたり、テーピングをしたりなど、手先を動かす仕事があるためです。理学療法士の場合は病院で他の職種の方が細かな看護師が行う場合もありますが、柔道整復師は柔道整復師自身が一人の患者さんに対しての施術をすべて行う場合が多いです。

また、柔道整復師も理学療法士と同じく、コミュニケーションを取るのが得意な方が向いています。同様に患者さん、そのご家族とお話する機会が多いためです。

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がんの緩和ケアとチームについて

がん患者さんは、がん自体の症状のほかに、痛み、倦怠感などのさまざまな身体的な症状や、落ち込み、悲しみなどの精神的な苦痛を経験します。「緩和ケア」は、がんと診断されたときから行う、身体的・精神的な苦痛をやわらげるためのケアです。

緩和ケアは、病院によって違いはありますが、がん診療に携わる医師、看護師などがチームとなって、がん患者さんとその家族を支援します。

まず、医師です。主治医だけでなく、緩和ケア専門医がつくこともあります。

そして、看護師。こちらも、担当看護師だけでなく、緩和ケアに関する専門的知識や技術を持った緩和ケア認定看護師がいると心強いですね。

薬剤師と管理栄養士が関わることもあります。薬剤師は痛みなどの症状をコントロールするための薬について提案や説明をします。管理栄養士は食事についてのアドバイスを行います。

ソーシャルワーカーや心理職の人が関わり、経済面や福祉制度のサポートを行ったり心理学的立場から患者さんとそのご家族を支えることもあります。

そして最後に、理学療法士と作業療法士の存在があります。がんの治療や症状によって、今までのように体が動かなくなってしまったときに、残された身体機能を最大限に活用して生活をしていくため、リハビリテーションを行っていきます。

これらのチームが一丸となって、がん患者さんに対して緩和ケアを行っていきます。今回は作業療法士にスポットを当てて、仕事内容について見ていきましょう。

作業療法士の仕事・役割について

がん患者さんへのリハビリでは、患者さんと介護する家族のQOL(quality of life)が向上することを目的としています。

ですが、ひとくちにQOLと言っても、進行がんの患者にとっては「回復して社会生活が送れるようになること」を指すとは限りません。「穏やかに残された日々を過ごすこと」「最後までできるだけ人に迷惑をかけずに生きること」などが目的の人もいます。

患者さん一人ひとりの目的を明らかにし、具体的な選択肢や道筋を与えるのが作業療法士の重要な仕事です。

例えば「一時帰宅がしたい」という患者さんの希望が、医療的に見れば体に負担がかかることであることも少なくないため、医師からはなかなかゴーサインが出ないことも多い。そんな時、医学的な知見を持ち、人の生活を作業として分析できる作業療法士は「このようにすれば、体の負荷を最小限にして患者の希望をかなえることができる」という方法を、具体的に提案することができます。

そのためにリハビリテーションのプログラムを組み立て、実施していくことによって、患者さんの希望を叶えることに繋げていきます。

また、がん医療において、患者さんの苦痛をより理解するためには、トータルペイン(全人的苦痛)の概念を理解することが重要なポイントです。

患者さんの抱える問題は身体的苦痛のみではありません。不安や抑うつなどの精神的なトラブル、家族や職業に関する社会的不安、生きる意味や死との直面などの悩みがあり、これらが複雑に絡み合っていることを意識する必要があります。これも作業療法士の重要な役割の一つです。

精神面を支えるリハビリテーション

緩和ケアを行う時期は、積極的な治療が受けられなくなった時期とも言えます。そのため、精神的にふさぎこんでしまう患者さんも多くいます。

患者さんは少し動いただけでも疲れるので動かなくなり、日常生活のさらなる制限をもたらす悪循環におちいり、やがては寝たきり(廃用症候群)になってしまいます。そして食欲不振や倦怠感がさらに増してしまう結果になります。

これらを改善するために、精神面を支えるリハビリテーションが必要になってきます。マッサージやリラクセーション、イメージ療法、アロマセラピーなど「非薬物療法」とよばれる療法を取り入れることもあります。また、在宅療法で患者さんの精神回復を優先する場合もあります。

そして、がんのリハビリは患者さんだけでなく、ご家族に対しても提供されるものです。適切な介護の方法を教え、患者さんが動きやすいように手すりをつけるなど生活環境を整備することは、介護者が自宅で看病する際の負担軽減に確実につながります。

このように、がんのリハビリテ―ションにおける作業療法士の役割は大きく、身体面・精神面の両方で患者さんを支えていきます。

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