リハビリテーション医療の現場で活躍する理学療法士と作業療法士。専門性の高い彼らの仕事は、患者様の回復と生活の質向上に欠かせません。しかし、その重要性にも関わらず、給与面での実態はあまり知られていません。
この記事では、理学療法士と作業療法士の初任給や年収の実態、新卒と中途採用の違い、さらには一般的なサラリーマンとの比較まで、気になる給与事情に迫ります。
-目次-
理学療法士・作業療法士の給料について
理学療法士と作業療法士は、リハビリの専門職です。この2つの資格で働く内容には違いがあり、理学療法士が身体機能回復のためのリハビリを行うのに対し作業療法士は生活や仕事・社会適応に向けた心と身体のリハビリを行います。
担当するリハビリテーション業務に違いがある理学療法士と作業療法士ですが、給料については概ね同じと言えるでしょう。
平均の月収は28万円、平均年収は404万円、推定時給は1,700円です。(平成27年)
もちろんこれは就職先や勤務年数によって幅が出ますが、理学療法士・作業療法士の年収は、他の職種に比べて勤務先の「規模」ではあまり変化がないようです。
比較的規模の小さい、100人以下の規模に勤める理学療法士・作業療法士の平均年収は409万円です。それに対し、1000人以下は402万円、1,000人以上は412万円、10人以上規模平均は405万円となっており、統計的にあまり大きな差がないことがわかりますね。
就職先を選ぶ際、「規模が大きい方が年収が高そう」「規模が小さいとお給料も低いのかな?」と思う方も多いかもしれませんが、そんなことはありません。自分の働きたい形ややりがいを優先して選んで良いでしょう。
また、男女の年収差も基本的にはありません。
理学療法士・作業療法士は女性も働きやすい待遇の職場が多く、特に作業療法士は女性がメインになっている職場もあるようです。
女性に人気の秘密は待遇だけでなく、年収にもあるのでしょう。全年代の平均では男性の平均年収412万円に対して、女性は397万円となっています。男女差のが無いところも、女性が活躍しやすい職業と言えるのではないでしょうか。
初任給と新卒・中途採用の違い
新卒で理学療法士・作業療法士として働いた場合、初任給は22万円~25万円程度と言われています。
出身校が3年制の専門学校か、4年制の専門学校か、または大学かによって若干の違いは出てきますが、新卒採用の場合はほぼこの枠内の初任給になるでしょう。なぜなら新卒の場合は能力や経験値に大きな差がないため、概ね各施設とも同じ給料で人材を雇う傾向にあるからです。新卒で就職先を選ぶ際には、初任給の額よりも他の項目を重視して選ぶと良いでしょう。
中途採用で就職をする場合には、あなたの経験やスキルによって差が出ます。また、年齢や学歴、理学療法士・作業療法士以外で持っている資格などがあればそれも考慮され初任給が決まります。
例として、30〜34歳で6年程度の業務経験がある場合の平均給与は26〜27万円程度です。
中途採用の場合は、施設によってどの項目を重視し初任給を上げ下げするかが違うため、何に注力している施設なのかを見極めて就職活動を行いましょう。小児分野に力を入れている施設であればそこに直結する経験や資格があれば評価されるでしょうし、自己PRの仕方も変わってきます。
中途採用の場合は平均して、新卒採用より2〜3万円ほど多い初任給を貰う傾向にあるようです。
一般的なサラリーマンとの違い
では、理学療法士・作業療法士の初任給が一般的なサラリーマンとどう違うのか、見ていきましょう。
一般的なサラリーマンとは、ここでは4年制大学を卒業し新卒で就職した場合とします。その場合、平均初任給は20.5万円程度です。また、4年制大学卒ではなく、専門学校や短大卒の場合は平均初任給が17.6万円程度、高校卒の平均初任給は16.1万円程度です。
平均の初任給については、一般のサラリーマンよりも理学療法士・作業療法士の方が高いと言えそうです。これはもちろん業種や地域で差が大きいので一概には言えませんが、理学療法士・作業療法士は医療職であり人の命を預かる仕事であるため、給料が高い傾向にあると言えるでしょう。
また、今後は高齢化社会に伴って介護事業・福祉事業で給料が増えることが想定されます。今後この開きは大きくなっていくことも考えられます。
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