作業療法士、理学療法士は、
AIが進化しても代替えされにくい
職業とされています。
さらに、作業療法士、理学療法士の
活躍の場は病院だけにとどまらず、
幅広い分野に広がっています。
また、他業種から作業療法士、理学療法士に
夢を持って、
キャリアチェンジをする人も
増加しています。
日リハから未来へ、
作業療法士、理学療法士には
どんな未来が待っているのか、
少し先の未来を見ていましょう!
プロスポーツ界にとって理学療法士は
欠かせない存在です。
世界的なスポーツ選手には専属の理学療法士が
いることも珍しくありません。
また、昨今のランニングブームに代表されるように、
多くの市民が日常的にスポーツをするようになり、
理学療法士が身近な存在になっています。
全米公認ストレングス&
コンディショニングスペシャリスト資格保持
理学療法学科 夜間部 2009年度卒業/
理学療法学科 非常勤講師
橋本先生
全米公認ストレングス&コンディショニングスペシャリスト(以下:CSCS)とは傷害予防とスポーツパフォーマンス向上を目的とした、安全で効果的なトレーニングプログラムを計画・実行する知識と技能を有する人材を認定する資格です。指導対象は主にアスリート、スポーツチームです。筋力トレーニングや他の体力要素の指導だけでなく、施設を運営、管理することも重要な職務となります。また、栄養、ドーピング、生活習慣に関する指導など、教育者的側面も併せ持っています。
大学在学中からスポーツ現場での指導に興味を持っていたので、この資格は意識していました。いつかはスポーツの現場でトレーニングやコンディショニングの指導をしたいという思いから、受験資格を得られる大学卒業と同時に資格を取得しました。
理学療法士の主な職務は、患者様が日常生活に復帰できるようにサポートすることです。他方、スポーツ選手の競技復帰をサポートするには、クリニックでの処理だけではなく、復帰へのアドバイスや競技に合わせたリハビリプログラムを考えたり、高い専門性が必要です。理学療法士の技能と、CSCSの技能を合わせより良いサポートをが可能になります。
近年、介護福祉士、保育士、
ホームヘルパーの方など、
医療福祉系の職種から、
作業療法士、
理学療法士を目指す方が増加しています。
その動機は様々ですが、
「もっと私にできることはないか?」という
共通点があります。
作業療法学科 夜間部 2019年度卒業
稲田さん
私はもともと介護現 場で働き、主に利用者さんの身の回りのお手伝いをさせていただいていました。お仕事をする中で、障害の進行や体力の低下により日常生活が困難になり、それに伴い精神的に落ち込んでいってしまう高齢者の方々を目の当たりにし、もっと私にできることはないか、という思いを強く持ちリハビリ職へのキャリアアップを考えました。
作業療法士のお仕事は、身体的な面だけでなく、精神面でのサポートに必要な知識も学べるということで、とても興味を持ちました。医学的な知識を学ぶことで、高齢者の方々の「生活の質」が少しでも良いものになるよう貢献したい、という思いで作業療法士への道を選びました。
今年(2020年4月)から、晴れて作業療法士として現場へデビューします。私は患者様それぞれに合った方法で、リハビリでの身体機能の改善や維持を図るのはもちろんですが、患者様にとってのリハビリが日常の楽しみのひとつになり、癒しにつながるような工夫をし、一人ひとりの人生に寄り添える作業療法士になりたいです。そのためには、その人を知ること、より理解することが重要だと思います。
近年、その社会的ニーズを受け、
起業を選ぶ理学療法士も続々出現しています。
社会の様々な問題を能動的に解決すべく、
経営者となった理学療法士の現在にフォーカス。
合同会社インテグラル・フィールド代表
アイナリハビリセンター田畑
理学療法学科 夜間部 2009年度卒業
理学療法学科 非常勤講師
伊藤さん
日リハを卒業後に働いていた病院は、高齢者のリハビリを行う地域病院でした。そこで感じたことは病院で行われるリハビリの限界です。多くの患者さんはいったん良くなって病院から離れると何もしなくなります。そのため、しばらくすると戻ってきてしまうのです。病院とは違った形で継続的に関わり合いを持ちながら、身体機能を維持したり、高めたりできる場所を提供したいと思い起業をしました。経営者として、そしてセラピストとして自分の頭で考え、責任を持って行動する、そういう主体性が必要です。今実感していることは、理学療法士は業界的に発信力が弱いということです。理学療法士の就職先は今の所病院がメインですが、病院に勤めていると待っているだけで患者さんがやってきます。当事業所のように地域の小さな組織の場合、それでは利用者さんは集まりません。また、地域での活動はケアマネージャーさんやヘルパーさんなど、他業種との連携も大切になります。ですから、得意分野など理学療法士としてアピールできる武器は何か、あるいは利用者さんや他職種の方に対して専門知識をいかにわかりやすく伝えられる、あるいは相手から信頼されるために自分をどう見せれば良いか。地域社会からのニーズが増す中で、これからの理学療法士にはそういった「自分を発信する力」が求められています。
音楽、美術、スポーツなどを学んだ経験があれば、
作業療法士・理学療法士として働く上で、
その経験を大いに行かせる可能性があります。
所沢慈光病院勤務
作業療法学科 昼間部 2016年度卒業
堀さん
吹奏楽を6年間一生懸命やっていました。その経験が、臨床の現場で非常に役に立っていると実感しています。
作業療法士は、患者様と一緒に物を作ったり、歌を歌ったりといった感覚的な要素も多くあります。そんな時には患者様に寄り添って歩みを合わせることが大切になりますが、吹奏楽では仲間とハーモニーを作り上げていくので、作業療法と吹奏楽には共通点もあって、吹奏楽の経験が作業療法を行う上で役に立っているなと感じます。
私が今携わっている精神障害分野のリハビリは、障がいの程度を数値などで明確に表すことが難しいです。だからこそ、患者様とお互い“ひとりの人”として関わり、信頼関係を築くことが大切で、その関係性が治療に繋がるのが魅力だと思います。作業療法はカウンセリング的な要素もあるので、自分を開示することも患者様との信頼関係の構築に役立ちます。自分の人間性や人生経験が患者様との関わりで大きな役割を果たすので、家族や友人との関係や趣味を充実させることが大切だと思います。
がんと理学療法、医療工学と理学療法、
再生医療と理学療法など、先進的な医療の現場で
理学療法士が活躍しています。
今後さらに理学療法士の重要性は
高まるといわれています。
理学療法学科 昼間部卒業
慶應義塾大学大学院卒業
国立がん研究センター勤務
小西さん
私が高校生のときに父ががんの治療を受けることになったのですが、その際にがん患者さんの大変さを知り、専門学校時代に「がんリハビリテーション」の算定が始まった事をきっかけに「がんリハビリテーション」を学びたいと思うようになりました。
日リハを卒業後数年は急性期病院で理学療法士として働き、「がんリハビリテーション」を行っていましたが、勤めていた病院で研究の必要性・面白さを学び、自分も一つの事を究めより深く学びたいという想いが募りました。そこで、思い切って大学院に進学することを決めました。そして2019年4月から国立がん研究センターにて勤務し毎日充実した日々を過ごしています。
理学療法士の数が多くなっている現在において「なんとなく」や「とりあえず」は通用しなくなってきています。それにおいて出身校=学校選びはとても大事な要素です。日リハは専門学校の中でも歴史があり、授業や実習を通して様々な経験ができます。そして多くの先輩たちがいて心強いネットワークが確立されています。実際に働き始めると他の専門学校よりも「日リハ卒」のメリットをたくさん感じることができると思います。
作業療法士、理学療法士の仕事は、
試行錯誤の連続です。
常にトライ&エラーを繰り返し、
一生涯学び続けられる仕事。
また、「これで良いんだ、
と思った瞬間に成長が止まる」
厳しい職業ともいえます。
医療法人敬愛会 リハビリテーション天草病院
作業療法学科 昼間部 2016年度卒業
鈴木さん
大学ではスポーツや健康について学んで後にリハビリ職を目指しました。理学療法士・作業療法士のどちらにするかを考えた時に、身体と共に環境や心理等、より広範囲な視点で患者さまをとらえ、リハビリテーションをすることで「患者さまが自分らしく生きることの一助になりたい」と思い、作業療法士を選択しました。作業療法士として働きだしてから思った事は、学びにおいて「満足」は自分で作りだしていくものだということです。そして、その学びは生涯続いて行くということです。
日リハの担任の先生が、「私たちは患者様から教えていただいている」のだとおっしゃっていただいた事がありますが、本当にその通りだと感じています。その為、現場では難しいと感じる事も多く、悩むこともたくさんありますが、その分「臨床って面白いな」と思えることも増えています。現状、明確な理想像は模索中です。しかし、回復期のリハビリテーション病院で働いて思う事は、病院を退院されてからの生活をしっかりと想定しながら関わるという姿勢は忘れてはいけないという事です。ご本人やご家族様の気持ちを汲み取り、一緒にこれからの生活を創る事に真摯に向き合い続けられる作業療法士でいたいです。
日リハの教壇に立つ教員は、
現役の作業療法士、理学療法士達です。
多くの現場経験から導き出した、
リアルな教育から即戦力を育てます。
作業療法学科夜間部学科長
松生 先生
私が生徒に伝えたいことは、作業療法の本質と、作業療法士としてできることの可能性です。まずは根本的に人に対する優しさや気づきを持ってほしいです。優しさ=ニコニコ笑うだけの受け身な優しさではなく、時にはダメ、と言えることが本来の優しさ、積極的な優しさだと思います。そして、人を「生活者」としてみること。人間はただ単に、「手足が動けばいい」「ADLができればいい」、というわけではなく、“生きがい” や “喜び・楽しみ” を持った生活を送っています。患者様それぞれの人生のサポートをさせていただきながら、QOLの改善や生きがいを見つけるお手伝いをさせていただくことが「作業療法士の本質」だと思います。
私は夜間部の教員ではありますが、大人と大人ですから私よりもはるかに学歴や教養の高い方もいます。私はあくまでも「作業療法士」の学校の教員、というだけで、その分野以外では私自身が学ばせてもらうことも多々あります。そういった意味で謙虚な気持ちを忘れないようにしています。他分野で働かれていた方たちは経験も豊富で、その世界の知識は非常に長けたものを持っている方々です。その経験値やスキルをリハビリテーションの世界でも活用できるようアドバイスできればと思います。特に、時間が限られている夜間部の学生とは話しやすい環境をつくることや、なるべく対等な環境をつくる努力をしています。
「あたりまえ」に安住することなく、
挑戦し続ける人間がいる。
理学療法士として、そして1人の人間として、
飽くなき挑戦を続けることで、
オンリーワンな存在になる。
DNS認定保持者
理学療法学科夜間部学科長
黒木先生
新しいものにトライし、臨床へ導入することでアプローチの幅を広げるために、DNS(Dynamic Neuromuscular stabilization/動的神経筋安定化)を学びました。DNSとは赤ちゃんの正常な発達運動を基礎にし、動作の安定性と運動制御に着目したリハビリテーションアプローチです。脊柱の安定性(体幹の安定性)は、横隔膜の機能を利用して高め、手足の運動、起き上がり、歩行、スポーツ動作などすべての動作において重要な役割を果たします。また、DNSは世界的にも有名で、スポーツ分野で話題となることが多いです。実際に認定を受けて学んだことは、アスリートのみならず、あらゆる方々に非常に有益な治療法ということです。
最近は、トレーナー資格を取得したうえで、理学療法士の資格をとる人も増えています。いろいろな経験を積んだ人は、その分いろいろな視点を提示出来るようになると思います。
なんでも「あたりまえ」にならず、常にいろいろな可能性を探れる視点を忘れずに、それぞれが自分の技術を振り返り、深めることを意識して活躍してほしいです。
目先のことだけでなく、5年、10年先を見て行動し、いろいろな人とのふれあいから多くを学び、自分で限界を決めず成長してくれることを望みます。