理学療法学科 昼間部 卒業生

齋藤 雄さん

一社会人としての理学療法士と、日リハ

学科 理学療法学科 昼間部
卒業年度 平成18年度
勤務先 公益社団法人 地域医療振興協会 台東区立台東病院
 
趣味/特技 読書・楽器演奏・総合格闘技
  • これと決めたら一直線。
    最高だった日リハ時代。
    理学療法士として働く今、思うこと。

    「全てが最高の思い出」

    Q. 早速ですが、日リハ時代の印象に残るエピソードを教えてください。
    日リハは入学してから卒業までクラス替えがないため、クラスメイトとは4年間毎日のように顔を合わせます。そのため、クラスメイトが本当に身近な存在になるのですが、定期試験や実習前、国家試験前は一致団結して「みんなで乗り越えるぞ!」的な一体感があったのを覚えています。試験前にはみんなで残って教え合ったり、実技の練習をしたり、考えた語呂合わせを披露したり、みんながいたからこそ1人にならずに乗り越えられ、今の自分がいると思っています。
    また、勉強以外のところでは、文化祭の“後夜祭”での出し物をみんなで頑張ったことが思い出深いです。出し物が無事に終わって成功した時は、みんなで涙まで流して喜び合いました(笑)。
    とにかく全てが最高の思い出です!
  • 「コンパクトだから聞ける」という満足=重要

    Q. 日リハでの授業はいかがでしたか?
    そうですね、、、どう答えたらいいか表現が難しいですが、高校までに習ってきた教科とは全く違う医療分野をイチから学ぶこともあり、最初は戸惑うことも多かったです。ただ、日リハは教室もほどよくコンパクトなので先生との距離も近く、わからないことはすぐに聞ける環境であったというところが良かったです。
  • 当時は気付かなかった日リハのメリット

    あと、学校生活の思い出というわけではないですが、日リハの学費は、最初から実習費込みで提示されているので、学生や保護者にとってとても親切な事だと思います。また、日リハは実習先の確保や手続きだけでなく、宿泊先の手配も学校で行ってくれましたので、実習だけに集中することができました。特に長期実習はとても大変ですので、余計なことを考えなくて良いということは、実はとても大きなメリットです。
  • 「その場に行って、その気になって・・・」

    Q. 話はさかのぼりますが、そもそも何故、理学療法士を目指されたのですか?
    父の仕事の関係から、理学療法士の仕事を知りました。そして、高校3年生の夏休みに病院で理学療法士が働く場面を見学させてもらう機会があり、そのときに白衣を実際に着せてもらって、その気になってしまったのがそもそものきっかけです(笑)。ですので、多くの皆さんのように「理学療法士という職業に強い思い入れがあって」というよりは、理学療法士にあこがれて目指し始めたというのが正直なところです。
  • 「学生と教師の一体感が凄かった!」

    Q. 沢山の理学療法士養成校がある中で、日リハを選んだのは何故ですか?
    いろいろな学校の説明会にいきましたが、日リハへは学校説明会や文化祭などを含めて4回は来ましたね(笑)。それぐらい「日リハに入学したい!」という想いが強かったです。決め手としては、説明会や文化祭に参加した時の学校や学生の雰囲気が良かった事と、学生と先生との距離が近かった事です。
    また、高校の先輩が日リハに在学していたこともあり実際の学校生活などの話しを直接聞くことができたことも大きかったです。
  • 「社会人として」これが基本

    Q. さて現在、実習生の指導を担当されていると伺いました。指導の際は実習生のどんなところを見ているのでしょうか?又はどんなところに注意して指導されていますか?
    私たちが実習を受けていた10年以上前とは、理学療法業界の実習のスタイルもかなり変化しています。ですので、毎年自分の指導の仕方についても考えながら行っていますが、主に見ているのは「社会人としての態度」です。
    理学療法士としての専門的な知識や技術もとても大切なのでもちろん指導しますが、その前に理学療法士も“一社会人”です。挨拶や言葉遣い、コミュニケーションのとり方などに特に注意をしながら指導に当たっています。
  • またまた「社会人として」これが基本2

    Q. 実習に来る前に最低限身につけておいて欲しいスキル等はありますでしょうか?
    先ほどの話と同じ答えになってしまいますが、最低限身につけておいた方がよいスキルは「社会人として」の態度や言葉遣いです。もちろん、専門的な知識や技術を身につけていることに越したことはありませんが、正直なところ、学校の授業だけでは臨床現場で働いている理学療法士と同等に仕事をする事は不可能です。ただ、知識や技術は徐々に学んでいけば良いことだと思いますが、社会人としてのスキルは学んですぐに身につくことではなく、今までの社会経験が大きく影響してくると考えています。なので、これは持論ではありますが、理学療法の勉強と並行して、在学中にバイトをするなど、いろいろな社会経験を積んで、「社会人として」のスキルを身につけておくと良いと考えています。
  • だんだん『眼』が変わってくる、、、

    Q. 現在は、非常勤講師として日リハで指導されておりますが、今の学生にどんな印象をお持ちでしょうか?
    印象といわれるとなかなか一言では難しいですが、各学年によってもかなり異なると思います。授業中、こちらからの問いかけに対してのリアクションが抜群なクラスもあれば、一見静かなクラスだなと思ったら黙々とちゃんと聞いているクラスもありますし、クラスによってもかなり色が分かれると思います。ただ、共通して言えることは、学年が上がれば上がるほど、明らかに『眼』が変わってくる学生が多いです。意識が高くなってくるんですね。
  • 「自問自答」と「ありがとう」のループ

    Q. 臨床の現場で印象に残るエピソードがありましたら教えてください。
    患者様が「あなたに会えて本当に良かった」と言って笑顔で退院される時は、理学療法士として働いていて一番嬉しい場面です。
    元気いっぱいに社会復帰されてハッピーな生活を再開してくれた患者さんを見るととても嬉しくなりますが、実際はすべての方が順調に回復されるわけではありません。時には思ったような結果につながらない事もあるのですが、そんな時でも、患者様のご家族の方から「あなたが担当で本当によかったです」と言っていただけると、やはりこみ上げてくるものがあります。
    もちろん、自分自身のなかで「ちゃんとできたのか」「自分でなければもっとできたのでは」という疑問もぬぐえませんが、それでも「患者様の人生に係らせていただくことができた」「人生の流れに携わらせていただくことができた」ということがとても幸せな事だと感じています。
  • 「なにがプロフェッショナルか?」

    Q. ご自身の理学療法士としての理想像を教えてください。
    理学療法士の人数がどんどん増え、理学療法士の働き方にもいろいろなスタイルが出てきています。「理学療法士とはこういうものだ!」とSNS等で盛んに議論されていますが、自分の考える理想の理学療法士像は「専門知識と技術を兼ね備えた、卓越したコミュニケーション能力と信頼関係を築き上げるプロ」です。
  • 求められる「理学療法士像」の今

    Q. 超高齢社会を迎えているこの日本で、これからどのような理学療法士が求められていくとお考えでしょうか?
    先ほどの理想像にもありますが、専門知識と技術が兼ね備わっていることは専門職として当たり前だと思っています。ただ、これからの超高齢社会の中で、障がいが残ってしまった場合だけでなく、衰弱してしまった身体など、今ある身体で生活していかなくてはならない方も多く存在します。そんな中で理学療法士として必要になるのが、コミュニケーション能力と信頼関係を築き上げるスキルだと考えています。
    リハビリテーションの意味は、元通りに身体を治すことだけではなく『全人間的復権』です。なかには落ち込んで人生に悲観的になっている方もたくさんいらっしゃいます。そのような方たちとどのように関わっていけるか。その点に長けている理学療法士が求められていくと考えています。
  • 「最後は自分に聞きましょう」

    Q. 最後に、これから日リハで理学療法士を目指す後輩にアドバイスやメッセージをお願いできますでしょうか?
    情報社会の現代、インターネットで検索をすればたくさんの情報が得られます。理学療法士の情報ももちろん簡単にたくさん手に入ります。その中で情報が錯綜しているようにも見えます。悲観的な情報もあれば、不確かな情報もたくさんありますが、目の前の環境や周りの情報だけにとらわれたり流されたりせずに、常に「自分が何をしたいのか」を考え、実際に自分の目で見て、感じて、自分の頭で考えて決めた方が良いと思います。臨床の現場はたいへんなこともたくさんありますが、その反面言葉では表せないほどのやりがいもありますので、実際に臨床現場で、理学療法士としての想いを分かち合えたらと思います。