作業療法学科 昼間部 卒業生

堀 茜さん

先生がくれたお守り

学科 作業療法学科 昼間部
卒業年度 2016年度卒業生
勤務先 所沢慈光病院
 
趣味/特技 旅行
  • 寄り添うことの大切さを教えてくれた祖母がきっかけで作業療法士の道に進んだ堀さん。現在は精神障害分野の作業療法士として働いています。喜びの共有、人間としての本質を常に考えながら患者様とのより良い関わりを模索しています。

    「寄り添うということを」

    Q. なぜ、作業療法士を目指すことにしたのですか?
    元々は、社会に貢献ができて生活に密着している医療・福祉系の仕事で何か資格を取りたいという漠然とした目的を持っていました。
    その頃、祖母がリウマチで作業療法士の方とリハビリをしていたんですが、家に帰ってくると「リハビリの先生は自分の辛さや悩みを誰よりも分かってくれる」と言っていたことがありました。それがきっかけで作業療法士に興味を持ちました。よく調べてみると、作業療法士は患者様に寄り添って関わっていくという事がわかって、とても魅力を感じたので作業療法士を目指すことにしました。
  • 「吹奏楽と作業療法について」

    Q. 日リハ入学前や高校時代はどんな生活でしたか?
    中高一貫校だったのですが、中高6年間吹奏楽部に所属して、部活中心の日々を送っていました。
    Q. 日リハには吹奏楽部出身者が毎年入学しています。作業療法士として働いていて、吹奏楽部だったことが役立つことなどはありますか?
    臨床現場で作業療法士は、患者様と一緒に物を作ったり、歌を歌ったりといった感覚的な要素も多くあります。そんな時には患者様に寄り添って歩みを合わせることが大切になりますが、吹奏楽では仲間とハーモニーを作り上げていくので、作業療法と吹奏楽には共通点もあって、吹奏楽の経験が作業療法を行う上で役に立っているなと感じます。
  • 「専門学校での4年間が魅力的だった。」

    Q. 作業療法の養成校は他にもありますが、日リハに決めたポイントを教えてください。
    専門学校ですが4年間じっくり勉強できることが最大の魅力でした。他には、国家試験合格率が高かったこと、家からの交通の便が良かったこと、オープンキャンパスに参加した時に感じた“アットホームな雰囲気”もとても良かったです。
    あとは、大学と違って専門学校では、高校卒業してすぐに進学する人達だけではなくて、社会人だった人がいたり、様々な経験をしている人が多いとも思って、そんなところも魅力でした。
  • 「お互いを尊重しあえるクラスメイト。」

    Q. 日リハの学校生活で思い出に残っていることなどがありましたら教えてください。
    私のクラスは高校卒業してすぐに入学した人、大学を卒業したばかりの人、社会人経験がある人など、色んな人が集まっていました。アットホームな雰囲気の中でも、お互いにあまり干渉しすぎず、それぞれの価値観を尊重しあっていたので居心地が良かったです。今でも仲の良かったクラスメイトと一緒に旅行に行ったりもしています。
  • 「先生がくれたお守り」

    Q. 先生との想い出を教えてください。
    試験や実習の時などよく相談に乗っていただいたりしました。中でも、国家試験前に担任の先生から学生一人ひとりにメッセージを伝えながらお守りをいただいたことがとても心に残っています。「学生のためにここまでしてくれるんだ」と、とても嬉しかったです。
    それだけではなくて、普段から先生方は学生一人ひとりをよく見てくださっていて、学生それぞれにあわせた“オーダーメイドのような教育”でした。
    だからこそ、私たちのクラスは全員が国家試験に合格することができました。
  • 「自信を持って良いと言われて。」

    Q. 実習で思い出に残るエピソードがあれば教えてください。
    作業療法士として現場で働くようになると、常に複数の患者様を担当しますが、学生としての実習中は、担当させていただく一人の患者様にじっくり向き合うことができるのですが、ある実習で評価や治療に行き詰まり悩んでいた時に、指導者の先生や学校の先生に相談したら「担当の患者様の事を今一番分かっているのはあなただから、自信を持っていい」と言っていただいたことが特に印象に残っています。
    実習中は毎晩遅くまでレポート作成に追われ、体力的にも精神的にも大変でしたが、担当させていただいた患者様をはじめ、様々な患者様との関わることができてとても勉強になりました。
  • 「精神疾患は特別じゃない。」

    Q. リハビリテーション4分野(身体障害分野、老年期障害分野、発達障害分野、精神障害分野)の内、精神障害分野へ進んだ理由を教えてください。
    精神障がいについては、世間的にまだあまり知られていなかったり、偏見もあって正しく理解されていないことも多いと思うので、実際に患者様と関わったり知識を深めて、少しでも社会に貢献したいと思ったからです。また、最近では精神疾患を患っている方も少なくなく、実は隣り合わせで生活をしているかもしれません。だからこそ正しい理解が必要だとも思いました。
    ちなみに、現在の職場は臨床実習でお世話になった病院で、とても雰囲気が良かったので就職したいと思いました。
  • 「喜びを共有するということが人間の本質」

    Q. 精神障害分野のリハビリは作業療法士ならではですが、精神障害分野におけるリハビリテーションの魅力・やりがいなどを教えてください。
    精神障害分野のリハビリは、身体障害分野のリハビリと比べて、障がいの程度を数値などで明確に表すことが難しいです。だからこそ、患者様とお互い“ひとりの人”として関わり、信頼関係を築くことが大切で、その関係性が治療に繋がるのが魅力だと思います。
    今の勤務先の病院では、四季折々の行事を行います。精神科の患者様は病院から外出することが少ない方もいて、何年も入院し、世間から遠くなってしまっている方もいます。そんな方に、楽しい体験や今流行っているものを提供することで、とても喜んでいただけます。その喜びに触れることが、私の喜びでもあります。
  • 「現場で初めてわかる即戦力育成」

    Q. 作業療法士として仕事をしていて、日リハの強みを感じることはありますか?
    座学だけでなく実践や実技が多かったので、現場に近い経験としての知識がたくさん身につきました。また、国家試験の範囲だけを勉強するのではなくて、いろいろな分野の授業があったり、社会人としてのマナーなども学ぶことができました。なので、作業療法だけの範囲に囚われずに、一緒に働いているいろいろな職種の方たちとの連携ができることが本当の意味での即戦力育成、日リハの強みだと思います。
  • 「全ての経験がヒントになる。」

    Q. これから作業療法士を目指す方や、日リハを目指す方へ、メッセージをお願いします。
    作業療法はカウンセリング的な要素もあるので、自分を開示することも患者様との信頼関係の構築に役立ちます。自分の人間性や人生経験が患者様との関わりで大きな役割を果たすので、家族や友人との関係や趣味を充実させることが大切だと思います。
    また、精神科の患者様は、自分が病気だと思っていない方も多いので、治療を拒否されることもあります。そんな時は、病院と患者様の間に立って橋渡しとなる重要な役目になります。なので、いろいろな経験をしてコミュニケーション能力を培ってください。