作業療法学科 夜間部 卒業生

篠田 佳穂さん

大学のデザイン学科を卒業し、
作業療法士へと転身

学科 作業療法学科
卒業年度 2022年3月卒業
勤務先 都内病院
 
趣味/特技 散歩、飲食店巡り
  • 2022年3月に日リハ夜間部の作業療法学科を卒業し、現在は都内の回復期病院で勤務する篠田佳穂さんのインタビューをお届けします。大学で4年間学んだ篠田さんは、どうして作業療法士への転身を決めたのか。そして、入職後の仕事面で直面している課題やそれを乗り越えるために支えてくれた日リハでの経験について語っていただきました(インタビューは2023年1月に収録)。

    「建築デザイン学科からの学び直しを決意」

    Q. 篠田さんが作業療法士を目指したきっかけについて教えてください。
    身内が医療従事者ではあったのですが、私自身はもともと内装のデザインに興味があったのでその勉強をできる学校を探していたとき、身内が介護サービスを受けるという状況に。そこで専門の業者さんにお世話になり、そこで「ユニバーサルデザイン」(言語、国籍、年齢、性別問わずすべての人が使いやすいように考慮されたデザイン)に対する興味を持ち始めて、大学の建築デザイン学科に進みました。やがて卒業後の進路について考え始めたころ、リハビリテーションとユニバーサルデザインとの関りの深さを知りました。

    その領域で探してみたところ、福祉業者のデザイン関係の仕事が多かったのですが、そのタイミングで身内が入院することになり、デザインの仕事以上に人の役に立つ仕事を志向するようになりました。そうして、その仕事の一つである作業療法士になるために学び直しを決意したのです。
  • 「大学卒業後の学び直しは慎重な検討を重ねる」

    Q. 数ある学校の中から、篠田さんが日リハへの入学を決めた理由を教えてください。
    大学卒業後の学び直しということもあり、大学入学時以上に検討を重ねました。4年制の大学や他の専門学校にも見学に行きました。結果的に、少人数制だからこそのアットホームな雰囲気に惹かれたという点と、近隣の環境やアクセスの良さが日リハの決め手となりました。

    私自身、勉強があまり得意な方ではないので、大学の場合は教授と生徒は距離感が遠いけれど、専門学校だともう少し身近に相談がしやすいと思ったことも決め手の一つです。実際に進路に悩んでいた時に、日リハのオープンキャンパスに足を運び、その際に対応してくださった先輩方や先生方の親身さは決定打でしたね。

    Q. 日リハでの学校生活や先生とのコミュニケーション、国家試験勉強についてお伺いします。特に思い出に残っていることについて教えてください。
    学生時代は、昼間は病院付属の施設で介護助手をしていました。ですので、休日に空き教室を借りて、クラスメイトと朝から夕方まで国家試験対策の勉強をするなど楽しく学んだことはとても思い出に残っています。テスト勉強も同様です。
    先生からは、実習中にいただいたエールと差し入れのお菓子が嬉しかったです。心身共に疲労困憊だったのですが、私の性格面のフォロー等もしてくださり、とても励みになりました。
  • 「入職先は国家試験の直前まで悩む」

    Q. 病院(就職先)選びについて伺います。篠田さんはどのような点を重視されたのでしょうか?
    就職先については、実習でも行った老年期・維持期にするか、実習では行っていない回復期のどちらにするかを迷いました。実際、国家試験の直前、ギリギリまで結論が出なかったですね。

    仕事内容以外にも、給与等の条件面であったり、自宅からの距離といったアクセスの問題もありましたが、やはり一番は自分がどのように働くことができるのかを重視しました。結果、回復期の方がより作業療法士らしい介入ができると思い、今の病院にお世話になることになりました。
  • 「入職後に直面した課題を乗り越えるために」

    Q. 篠田さんが現場で働きはじめてもうすぐ1年が経ちます。現場で過ごした毎日はどうでしたか?
    入職から8ヶ月が経過しましたが、振り返ってみても忙しい8ヶ月だったと感じています。学生時代よりも勉強する量がさらに増えたのですが、それも「勉強しなきゃ」という気持ちが日毎に強くなっていったからです。
    日リハで4年間勉強してきましたが、それでも自分には全然知識が足りていないということを痛感する日々でした。患者さまに介入するときに、「その作業をどういう目的でやるのか」についてしっかり説明できないことがあり、そのジレンマを解消するためにもとにかく勉強が必要でした。わからないことをその都度調べたり、学生時代の教材を見返したりして、忘れてしまっていたことを思い出す時間も多々ありました。

    Q. ほかに篠田さんが苦労された点があれば教えてください。
    苦労したことは、やはり回復期の病院自体が実習でも経験していないという点に起因するものですね。どういうサイクルで介入が進められていくのか実感が持てず、入職後に一人の患者様に何ヶ月(長くて半年、短い方でも二ヶ月くらい)も付き合うので、行き当たりばったりの介入ではいけないということを感じています。

    さらに、回復期においては復職支援もあり、介入も幅広いものが求められるのですが、そのためには患者様への接し方も重要になります。一番悩んでいるものは患者教育の部分です。自分自身の性格的にも患者様へ強く言えないところがあるので、悩みながら伝えるようにしているのですが、まだまだ課題は多いです。それでも、こちらからの要望だけでなく患者様の気持ちをしっかりと汲み取り、耳を傾けることができる作業療法士になるため、これからも努力していきます。
  • 「OBやOGの多さが入職後に支えに」

    Q. 仕事をしていて、日リハの強みを感じる時や、日リハでの学びが生きていると感じる時があれば教えてください。
    いまの職場には日リハの卒業生の先輩がとても多くて相談がしやすい点ですね。スタッフの実に1/4から1/5が日リハ卒業生なんです。ご自身も通ってきた道だからこそ、弱いところと強みの部分の両方がどちらもわかっているということもあり、「苦手な分野の勉強ならこの教材がいいよ」とか、「もともと持っている教材ならこういうところが使えるよ」というように、とても具体的かつピンポイントでアドバイスをしていただけます。
    さらに、こまめに気にかけていただき、OB・OGということもあり相談がしやすくて、業務以外のことも話ができるので楽しく仕事ができています。
  • 「社会人経験豊富なクラスメイトとの日々が糧になる」

    Q. 作業療法士を目指して日リハへの進学を考えている方へのメッセージをいただけますか?
    私のように夜間部に入学される方にお伝えしたいことがあるとすれば、まずは「初志貫徹でがんばってください」という想いに尽きます。

    学校選びの際は“大学入学時以上に検討を重ねた”とお答えしましたが、結果的に私は夜間部を選択してすごく良かったと思っています。その理由としては、一つは学生時代に昼間のアルバイトを通して様々な勉強ができるということが挙げられます。そして、社会人としての経験を積まれた方がクラスにたくさんいらっしゃいます。
    別のお仕事をされていた方はその領域のスペシャリストであり、知識もとても豊富でいらっしゃいます。私は大学からの学び直し組だったこともあり、そんな方々と日々の授業でコミュニケーションを交わすなかで蓄積したものが、実際に仕事をはじめてから活きてきていると感じています。

    私自身、学び舎での経験を糧に現在仕事に打ち込んでいますが、今後はこちらからの要望だけでなく、患者様の気持ちをしっかりと汲み取って、常に耳を傾けられる作業療法士を目指して頑張っていきます。