理学療法学科 昼間部 卒業生

寺島 優さん

臨床家&管理職として
理学療法士の道を追求

学科 理学療法学科 昼間部
卒業年度 2013年度卒業
勤務先 苑田会ニューロリハビリテーション病院 勤務
趣味/特技 朝活(ジム・読書・勉強など)
  • 理学療法士としてのキャリアをスタートさせて10年が経過した寺島優さん。現在は、病院のリハビリ室長として、後進の育成という重要な任務においてもその手腕を発揮されています。臨床家と管理職という二つの重責を担う寺島さんに、現在の仕事のことや理学療法士としての想いについて伺いました(インタビューは2024年1月に収録)。

    「怪我のリハビリで知った理学療法士の仕事の価値」

    Q. 最初に寺島さんが理学療法士を目指した理由を教えてください。
    高校、大学とサッカー部に所属していました。部活中に負った怪我の治療で初めて理学療法士と出会い、その仕事に触れて憧れを抱くようになりました。「この人のように誰かに貢献したい」という想いが強くなっていったことが、直接的なきっかけですね。

    Q. ちなみにその当時の怪我はどんなものだったのでしょうか?
    理学療法士のお世話になったのは大きな怪我で、過去2回ありました。どちらも試合中の接触プレーによるもので、高校時代は半月板損傷で、大学時代は右膝十字靭帯の完全断裂でしたね。大学時代の怪我は、結局完治するまで8ヶ月を要しました。それでも、「プレーヤーとしてピッチにまた立ちたい」という想いが強かったので、それに向けて手術翌日から理学療法士の方とリハビリに励み、最終的に復帰することができました。このときの経験が、私に「理学療法士は長い期間、患者様と寄り添える仕事だ」と思わせてくれました。
  • 「日リハの歴史と伝統とビジョンが決め手になった」

    Q. 理学療法士の養成校は他にもありますが、寺島さんが日リハに決めたポイントを教えてください。
    大学は商学部だったのですが、就職活動はせずに理学療法士になるためにもう一度学校に行くことは決めていました。数ある養成校の中でも、日リハの歴史と伝統に惹かれたところはあります。理学療法士を育て、輩出していくなかで培われてきたもの、それだけの長い期間生徒と真摯に向き合ってきた積み重ねとしての歴史は、選択肢の中に入るだけのものはありました。

    さらに、就職率や国家試験合格率といった数字の部分はもちろんですが、国家試験合格に向けた4年間のプログラムが明確であったことや、社会に出てから必要とされる人材に育ててもらえるような雰囲気があったことが決め手になりました。「こういう理学療法士を育てたい」という部分がしっかりと伝わってきて、その点が他の学校とは大きく違ったところだと感じましたね。
  • 「病院選びの条件は、ずっと働き続けられる場所」

    Q. 寺島さんのお仕事について伺います。まずは病院選びについてですが、どのような基準で選ばれたのでしょうか?
    最も重視した点は、就職後の生活も含めて長期間働きたいと思える職場に出会うことでした。ですので、臨床家としてだけでなく、人間として成長できる場のために様々な取り組みを行っている職場を選びました。入職後10年が経過しましたが、今も最初の病院で勤務しています。

    Q. キャリアアップや違う領域を経験されるために病院を移る方も多い中で、10年間同じ病院に勤務されているのですね。
    これは私の性格でもあるのですが、環境を変えるという選択肢はもともとありませんでした。転職すると生活基盤や人との関係性が変わってしまうので、それは自分にとっては負担になるな、と。最初から回復期に入職したいという気持ちが強かったのですが、そこから他の領域を看る機会が欲しいと思うなら、グループ病院として急性期から維持期まで看ることができる病院を選ぼうと考えました。結果的に、全国の回復期リハビリテーション病院を全部調べたうえで、その中から給与や生活スタイルにあった今の病院を選びました。

    現在は臨床家として、入院の患者様メインで1日最高15人のリハビリを担当しています。それと同時に、2023年度からリハビリ室主任に就任しました。病棟ごとに理学療法士がいて、合計53人が勤務してます。その責任者としての立場もありますが、臨床をしている最中はあくまで臨床家として患者様に向き合い、管理職の立場と切り替えるように心がけています。どちらかに偏ってしまうと悩みにつながるので、上手く切り替えて「今のポジションはどっちもできるのがいい」と思うようにしていますね。
  • 「日リハで得た経験は、管理職の業務にも活きている」

    Q. 寺島さんは管理職として後進の育成にも携っていらっしゃるのですね。育成の上で寺島さんが気を付けていることを教えてください。
    そうですね、やっぱり「相手のことを理解した上で教育していく」という点を一番重視していますね。自分のエゴや価値観を押し付けるのではなく、組織が求めていることを最初に伝えたうえで、相手に対して私が何を期待しているかを話すようにしています。そうすることで、自分たちが何をしないといけないかに気づいてもらうように促します。

    病院としては、医療人だけでなく社会人として必要なスキルを備える取り組みを考えているのですが、上から言われることをそのままストレートに流すわけにはいかないので、まずは新人たちを不安にさせないようにすることに力を注いでいます。
    Q. 寺島さんが管理職として勤務するなかで、日リハでの経験が活かされていると思うことはありますか?
    日リハで得た経験のなかでは「相手を信じること、寄り添うこと、良いところを伸ばす」という点が活きていると思います。そこは私も学生時代に先生方から常々言われてきたことでもありますし、常に意識するようにしていることです。

    今の子たちは、やっぱり自分から何か打ち明けてくれることはありません。こちらから積極的に声をかけ、色んな質問を投げかけてコミュニケーションをとっていく。そんな風に環境を整えることを重視しています。こちらとしては、やっぱり1年でも長く続けてもらいたいので、そのためにも押し付けるのではなく、人間性の部分を引き出してあげることが大切だと実感していますね。
  • 「理学療法士はやりがいのある仕事だと知ってほしい」

    Q. 最後に、理学療法士を目指している方へのメッセージをいただけますか?
    理学療法士は非常にやりがいのある仕事です。そのためにも、在学中に「人とどんな関わり方をしたいか」「どんな役割の中で自分の良さが活かせるか」を考える時間を作ってもらいたいですね。

    関わり方も多様にあり、患者様だけではなく、患者様のご家族、そして同じ理学療法士の同僚、多職種の同僚との関係性が重要になってきます。この点をしっかりと考えていけば、「この患者様とどういう風に歩んでいきたいか」「関わり合いを持っていきたいか」についておのずと思いを馳せるようになります。

    Q:本日はありがとうございました。

    Q. そして、日リハへの進学を考えている方へ、寺島さんから伝えたいことを教えてください。
    私自身の経験から言っても、日リハは「理学療法士になってから後悔しない学校」だと思います。それは、人間性を育ててくれる、人を看る職業の大事さを伝えてくれる先生や職員の方々が多いと思ってるからです。だからこそ、日リハに入学後、実習に出た暁には、その病院で理学療法士として活躍する先輩方がたくさんいるはずです。私も、担当していた日リハの実習生が入職して同僚となり、同じ目標に向かって仕事ができていることは、感慨深いことの一つです。
    これからは、理学療法士が求められる機会がもっと世の中で多くなります。それを念頭に置き、理学療法士としてのやりがいを感じる学校選びや、その後の病院選びをしてもらえたらと思いますね。