2021.10.10
作業療法
精神科は、今後ますます需要が増加すると言われています。若い世代も含めて精神疾患に悩む人は多く、ストレス社会と呼ばれてる日本。「5人に1人は一生の間に何らかの精神疾患にかかる」と言われており、精神科は非常に身近になってきています。
メンタルをサポートする精神科の患者が増加していくにつれて、そこで働く専門職への需要も増すでしょう。
また、近年ではIT化が進み、AIに取って代わる職業も多いとされています。しかし医療専門職については例外でしょう。その中でも精神科については、人にしかできない領域だと言われています。数十年後を見越しても、精神科がロボット一色になるといったことは考えにくいです。
そのため、作業療法士として就職先を選ぶ際に、以下を選択肢に入れる方も増えてきています。
●精神科病院
精神疾患のある患者さんに接することが主な仕事です。例として、統合失調症・神経症・うつ病・躁鬱病・薬物やアルコール等の依存症・認知症・心身症・パーソナル障がい・てんかんなどがあります。
仕事内容は、精神的な負担の緩和や、作業プログラムによる訓練などを行います。
●精神保健福祉センター
精神保健福祉センターは、病院とは違い、地域住民の精神的な健康を保持・改善するための施設です。
仕事内容は、精神疾患や依存症など福祉に関する講演や研修、また精神保健福祉職に関わる人に向けた技術指導などを行ないます。地域住民の相談窓口として、心の健康に関する様々な相談を受けることもあります。
では、実際に精神領域で働く作業療法士はどういった仕事を行っているのでしょうか。
まず、患者さんの「生活のしづらさ」をアセスメントし、適切な介入により生活の質を向上させることを目的とします。具体的には、創作やレクリエーションといった作業療法活動を通して喜びや達成感を促す関わりから、より実生活で役立つ技能の獲得を目指す関わりへと幅広い関わりを持っていきます。
精神領域でなく身体領域の作業療法でも行うことではありますが、特に精神科リハビリテーションにおいては「実生活に結びつく技能獲得に関する支援」が重要となります。
理由としては、実生活に結びつく技能獲得には個人差があるので、患者さんそれぞれに個別に介入をしていくことが求められます。特に当事者の持つ生活のしづらさには認知機能障害が関連しているとされることから、高次脳機能のリハビリテーションとしての視点から生活における障害を捉えなおす関わりが作業療法士には求められます。
また他職種と同様に、カウンセリングや当事者の環境調整、プログラム提供など幅広い関わりも仕事のひとつです。
「精神科で働く専門職」と聞いて思い浮かぶのは、精神保健福祉士や臨床心理士ではないでしょうか。実際、チーム医療として作業療法士とともにそれらの専門職、そして医師や看護師が一丸となって患者さんをサポートしています。作業療法士以外のチーム医療メンバーについて見ていきましょう。
●医師
まず、医師について。医師の仕事は診察をし、治療方針を立て、薬を処方することです。医師の役割は患者さんだけではなくチーム医療全般にも大きな影響力を持っています。そして患者さんのご家族との信頼関係を維持することや、他のスタッフと連携をとること、モニターや副作用のチェックなどの観察を行うことも役割としてあります。
●保健師・看護師
そして次に、保健師・看護師です。保健師としての役割は、保健所・保健センター等の公的機関で求められるような予防的な視点を持つことです。看護師としての役割は、病院や訪問看護ステーションなどで求められるような治療的視点をもつことです。
また、日頃から体調の変化を感じたり表現したりすることや、早期に他者に相談するという対処法を身につけていけるようサポートしていくことも重要な役目と言えます。
●精神保健福祉士
次に、精神保健福祉士の役割です。精神保健福祉士は、医療・保健・福祉の様々な場面を統合したサービスによって地域生活をサポートすることが仕事です。わかりやすく言うと、患者さんと社会との懸け橋となる存在ですね。
●臨床心理士
臨床心理士の役割は、面接や観察、心理検査などを通して心理学的なアセスメントを行うことです。これが一番「精神科」と聞いてイメージする仕事かもしれません。カウンセリングを行い、コーディネーターとして関わったり、プログラムを提供したりすることが仕事です。他職種と連携を保ちながら柔軟な対応を取ることが求められます。
「心理学の資格を大学で取得した人が作業療法士を目指すメリットとデメリット」
グループ校