2021.12.06
作業療法
作業療法士を目指す場合、養成校在学中に必ず「決められた時間数以上の臨床実習(学外での実習)」を行わなければなりません。実際の医療・福祉施設で行われるこの実習を通じて、専門的な知識と技術を習得することが求められます。
学校によっては、カリキュラムに含まれる実習の内容や期間に違いがあるものの、一貫して重視されるのは、実践的なスキルを身に付けることです。
この記事では、臨床実習とは何か、なぜ実習が必要なのか、そして臨床実習の重要性とどのように取り組むべきかについて解説します。
作業療法士になるためには、臨床実習を行う必要があります。臨床実習は、作業療法士が実際に活躍する校外の医療・福祉施設において、専門家として必要な知識・技術を習得するために行われます。
学校によってカリキュラムに違いはありますが、指導者の助言・監督の下で実施される主な臨床実習は次の3種類です。
■臨床実習I(見学実習):1~2年次に1日~1週間程度
実際のリハビリテーションの現場や関連職種の仕事の様子を見学します。一連の業務内容を理解して、作業療法士としての基本的姿勢を身に付けます。
■臨床実習II(評価実習):2~3年次に2~3週間を2回程度
身体障害・精神障害両領域の実際の対象者に作業療法評価を実施し、医療面接、検査・測定、動作観察などの技術・能力を身に付けます。
■臨床実習III(総合実習):最終年次に6~8週間を2回程度
身体障害、精神障害、老年期障害、発達障害のうち、2領域以上で長期的に対象者を担当し、評価、目標設定、治療計画立案、治療までを実施します。また、組織の一員としての実務や業務管理を経験し、作業療法士としての実践的な能力を身に付けます。
他にも,教員とともに地域でのさまざまな活動に参加し,コミュニケーションスキルなどを高めます。
それぞれの臨床実習は異なる施設で実施される場合もあります。実習施設が遠隔地であれば、生活拠点を一時的に寮やホテルに移しての実習となります。
作業療法士を目指す学生の間に、多くの時間を患者様と接することで、実践的な力が身につきます。学内教育で習得した知識・技術を臨床現場で統合することが目的です。
学内教育と学外での臨床実習はどちらも重要で、両者の相乗効果によってより高い学習効果を得ることができます。数多くの症例に触れることで技術が身につき、就職後の患者様の機能回復にもつながります。
作業療法士や理学療法士といったリハビリテーション専門職に求められる、適切な行動・態度、そして責任感を修得することも臨床実習の目的としてあります。作業療法士としての観点の前に、就職した後は社会の一員として、礼儀やマナーといったものも身に着けておかないといけません。実習の間は、これを学べる重要な機会です。
作業療法士を目指せる学校であれば、実習は必須で、厚生労働省が定める実習時間は990時間です。ですが、実習に力を入れている学校もあれば、必要以上の実習は行なわない学校など、それぞれ特徴があります。
学生からすると実習は「寝る間もなく大変そう」「授業で学んだことが発揮できるか不安」といったイメージがあるかもしれません。ですが、近年では実習生に対するストレス、実習指導者にかかる負担などを考慮して、決められた時間内で終われるように自習内容も調整されています。
また、先だって述べたように、実習は将来就職する上で非常に重要な学習の機会です。より多くの時間、臨床現場に触れ、就職した後の準備をしておく必要があります。
学校選びの際は、実習を重視しているかどうか確認してみましょう。
「介護福祉士から作業療法士へキャリアアップ!介護の仕事の経験が活かせる職業」
グループ校