フィジカルアセスメントは、患者様の健康状態を正確に評価するために不可欠なプロセスです。具体的には、問診・視診・触診・聴診・打診など、さまざまな診察技術を駆使して、患者様の身体的状況を総合的に把握していきます。
この記事では、フィジカルアセスメントの基本的な概念、実施時の注意点、そして詳細なアセスメントの流れについて解説し、理学療法士や作業療法士がどのようにして患者様の症状の把握や異常の早期発見につなげているのかを説明します。
-目次-
フィジカルアセスメントとは
フィジカルアセスメントとは「フィジカル(身体的な)」「アセスメント(情報を意図的に収集して判断する)」という言葉の意味の通り、さまざまな情報を統合して患者さんの状態・状況を判断することです。
日本語では身体診察技法とも呼ばれ、症状の把握や異常の早期発見のために行われます。
フィジカルアセスメントにおいて欠かせない情報は「患者さんやご家族への問診で得られた主観的な情報」と「視診、触診、聴診、打診などの身体診査によって得た客観的な情報」です。これらを総合的に判断します。
フィジカルアセスメントはまず問診によって患者さんの主観的な情報を収集し、その後身体診査を行って客観的な情報を集めます。
それらを解剖生理や正常範囲、症状の経過などと照らし合わせて、健康状態や、それが今後どのように推移していくかを判断します。
フィジカルアセスメントの注意点
フィジカルアセスメントは具体的なケアに繋げていく方法であることを意識しましょう。その状態にある患者さんに対し、次にすべきことは何かを考えて行動するために行います。
理学療法士や作業療法士がフィジカルアセスメントをする上で押さえておきたいのは、「疾患や状態に応じてフィジカルアセスメントを確認する」ということです。
疾患にせよ障害にせよ、急性期ではまず状態を確認して、安全かつ早期に離床させることがリハビリの目的となります。
そのためには血圧や脈拍、体温、呼吸数、意識レベルといったバイタルサインだけでなく、フィジカルアセスメントの知識も必要です。
不完全な状態で離床を促して、患者さんに不利益が生じることがないように、理学療法士・作業療法士はしっかりポイントを押さえておきましょう。
フィジカルアセスメントの流れ
フィジカルアセスメントはまず問診によって患者さんの主観的な情報を収集し、その後身体診査を行って客観的な情報を集めます。
・問診
問診では質問や対話を通じて、患者さんの身体状態を確認します。それに加えて、病状にあわせた具体的な質問をしていくことが重要です。5W1Hを基本にしていくといいですね。
・視診
視診は視覚だけでなく、聴覚・嗅覚も用いて行います。どのような病状であっても、必ず初めに行う身体診査です。患者さんをよく観察するだけでも、多くの情報を得ることが出来ます。顔色が悪い、浮腫がある、唇や顔面にチアノーゼが出ているなどを確認しましょう。
・触診
触診は手指で直接触れて、皮膚の状態(温度・湿度・振動の有無など)を確かめる身体検査です。バイタルサインのひとつである脈拍測定も触診にあたります。何を診るかによって、手のどこを使うかも変わります。手にはそれぞれ異なる感受性があるからです。
・聴診
聴診器を用いて患者さんの呼吸音や心音、腹部の蠕動運動などを聞く身体診査です。呼吸音の場合はどんな雑音がするのかよりも、どの部位で雑音があるのかを確認することが大切です。左右差や正常音との違いを知っておきましょう。
・打診
打診は身体の表面を軽く叩き、その音によって身体内部の状態を判断する診査です。手首のスナップをきかせながら、垂直に2回トントンと叩きます。利き手の中指で、利き手でない方の中指の第一関節(遠位指節間関節上)を叩くのがポイントです。
理学療法士・作業療法士は、これらの情報を解剖生理や正常範囲、症状の経過などと照らし合わせて、健康状態や、それが今後どのように推移していくかを判断していきます。
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