保護者目線で考える、理学療法士・作業療法士を育成する専門学校の選び方

理学療法士・作業療法士を育成する専門学校は首都圏だけでも多数の学校があります。もちろん一番大事なのは養成校で学ぶ本人が、「通いたい!」と思える学校を見つける事ですが、それと同じくらい保護者の皆様が納得してお子さんを預けることができるかどうかも大事です。

そこで今回は、保護者目線で理学療法士・作業療法士を育成する専門学校の選び方についてまとめてみます。

4年制?3年制?修学年数から専門学校を選ぶ

理学療法士・作業療法士になるためには、4年制または3年制の養成学校で学ぶ必要があります。

国で定められている学ばなければならない基本となるカリキュラムはどちらの年数の学校でも同じです。プラスアルファで行っている応用的授業や臨床実習が4年制の方が多く一つ一つ理解をしながら勉強を進める余裕があるのに対して、3年制は1日に行う授業の量が多く、年間の休みも少ないなどの違いがあります。

学費に関しては3年制の学校の方が1年短い分安くなりますが、学費以外にかかる金額や1年単位で考えると一概にどちらが安い・高いという比較は難しいところです。学校ごとに学費の制度が様々ですので、ホームページやパンフレットで確認してみましょう。

3年制の学校であれば一年早く現場に立つことができるので、少しでも早く資格が欲しいという場合はお勧めできますが、3年間は息つく暇もなく一気に詰め込んで学んでいくことになるので、それ相応の自信と覚悟が必要です。

お子さんの希望はどちらなのかを聞き、どちらの学校についても調べてみることが良いでしょう。早く一人前になりたいという気持ちが大きいお子さんもいらっしゃいますし、サークルやアルバイトなどでゆっくり学生生活も楽しみたいと思い描いているお子さんもいらっしゃいます。

また、2020年4月の入学生以降はこれまでと違い理学療法士・作業療法士とも単位が増加となっています。そのためこれまでは「3年制でも勉強に追いつけました!」という方でも今後はついていけなくなってしまったり、スケジュールに追われる毎日になってしまう可能性もあります。それも加味して学校選びを行いましょう。

一人ひとりに目が行き届く環境はまなびやすい

理学療法士・作業療法士の資格は国家資格であり、入学すれば簡単に取れる資格ではありません。

また、知識だけでなく技術も重視されるため実技授業や臨床実習も大切です。そうなったときに、教員が生徒一人ひとりをきちんと見ることができる環境かどうかは大切です。

大学では100人~200人を1人の教員で授業をしたり、実技においても限られた人数の教員が見て回る環境になってしまうため、「できない」「わからない」といった生徒の声が届きにくいと言えるでしょう。

専門学校の中でも、少人数制でしっかり生徒とコミュニケーションを取っている学校もあれば、教員の数が十分に確保できていない場合もあるようで、必ずしもそうでない学校もあります。

これはパンフレットだけではわからないので、実際にオープンキャンパスに行って確認するようにしましょう。学校内を歩いているだけでも、先生と生徒の距離がどの程度なのかはすぐに体感することができます。授業を見る機会があればより良いでしょう。

また、担任制を取っているかどうかも重要です。特にお子さんがついこの前まで高校生だった場合、高校には当然担任の先生がいたと思います。知識や技術の具体的な質問はその授業の先生に行いますが、実習や就職に関しての不安や生活環境について、人間関係について相談する大人が近くにいると安心ですよね。

そして、国家試験に向けた勉強に関してはすべての分野を網羅していく必要があるので、各授業ごとではなく体系的に判断してくれる人がいるというのも心強いです。そのため少人数制かつ担任制を取っている学校がおすすめできます。

就職・学費・学校としての評価にも注目

理学療法士・作業療法士を目指すのであれば、国家試験に合格して終わりではなく就職をして療法士としてのスタートを切るところまで専門学校でサポートしてほしいですよね。

そのため就職率や就職サポートは学校選びにおいて重要な見どころです。

高齢化社会が進んでいることと、小児分野やスポーツ分野にも需要が伸びているので就職先は、よほどのこだわりを持って選ばなければ「就職先が見つからない」という状況は考えにくいでしょう。そのためどこの学校も就職率が高く違いがわかりづらいかもしれません。

そこで注目していただきたいのは、満足度の高い就職ができているかどうかです。お子さんが望む職場に就職できるかどうかが重要ですよね。病院ではなく介護施設が良いお子さんがいたり、新しい施設で1から施設を作り上げていきたいというお子さんがいたり、希望は一人ひとり様々です。

そんな希望をきちんとくみ取ってくれる学校なのかどうか、入学前にチェックしてみましょう。

また、学費に関しても重要ですよね。同じ資格を取る学校にも関わらず学校によって学費は様々です。

学費を見比べる際に気を付けていただきたいのは、公開されている学費が「総額」になっているかどうかです。実習費は別途となっていたり、初年度学費のみしか明記されていなかったり、対象にならない割引が適用された状態の数字であったり…と、きちんと実際に支払う総額がわからない場合があります。これらが明記されている学校を選びましょう。

学費の明記に関しても、そこがあやふやになっていると学校としての評価が悪いのでは?と信頼できなくなってしまいますよね。専門学校は外部から教育が水準に達しているかどうかや、カリキュラムや実習をしっかり行っているかどうかをチェックされています。

どんな評価をされているのかもホームページに公開されていたり、パンフレットに記載があったりするため見てみましょう。

見落としがちなところですが、保護者の皆様は学校側が公表している情報しか得られないので不安もたくさんあるかと思います。学校外から見た評価に関しては財務状況や就職指導に関してなど細かいところも見てくれているので、信頼できると思います。

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理学療法士・作業療法士を目指す方におすすめのドラマ・映画8選

理学療法士経歴を持つ監督の映画『栞』

大分県を舞台に、理学療法士の青年が様々な境遇の患者たちや周囲の人々と向き合いながら成長していく姿を描いた人間ドラマ。理学療法士として献身的に患者のサポートに取り組んでいる真面目な青年・高野雅哉。ある日、彼が働く病院に、疎遠になっていた父・稔が入院してくる。徐々に弱っていく父の姿を目の当たりにする一方で、担当している患者の病状が悪化するなど、理学療法士として出来ることに限界を感じ無力感に苛まれる雅哉。そんな折、ラグビーの試合中に怪我をした患者を新たに担当することになった雅哉は、その患者の懸命な姿に心を動かされ、仕事への情熱を取り戻していく。主人公・雅哉役に三浦貴大。自身も理学療法士の経歴を持つ榊原有佑監督がオリジナルストーリーで描く。

 

理学療法士を大きく取り上げた映画です。理学療法士の経歴を持つ監督の作品で、命を扱う理学療法士の姿がリアルに映し出されています。理学療法士だけでなく、作業療法士を目指す方も同じリハビリ職種として必見の内容です!

聴覚を失った若者の恋愛ドラマ『オレンジデイズ』

どこにでもいそうな大学4年生・結城櫂(妻夫木聡) と、病気で4年前に聴覚を失ったことにより心の扉を閉じてしまった女の子・萩尾沙絵(柴咲コウ)のラブ・ストーリーを軸に展開される、大学の卒業を1年後に控えた5人の若者の青春ドラマである。主人公は明青学院大学文学部心理学科社会福祉心理学専攻4年。大学1年の妹・愛(岡あゆみ)と、3歳年上の彼女・真帆(小西真奈美)がいる。キャンパス内でバイオリンを弾いていた沙絵を見かけ、自身が専攻する科目で手話を扱っていたことから交流をはじめた。優しく正義感にあふれた男で、沙絵のことを大切に想い、愛している。

 

恋愛ドラマのためリハビリに関する内容はあまり出てきませんが、主人公が作業療法士を目指しており場面場面でその描写があります。車椅子の子供や老人のリハビリの補助をするシーンや、リハビリセンターのバイトに通う様子が映り、作業療法士資格試験を受けるまでがドラマでは描かれています。

ドラマを楽しんで観ながら、どこで作業療法士を目指す様子が映るのか注目して観るのも良いのではないでしょうか。

クリント・イーストウッド主演の『ミリオンダラー・ベイビー』

家族からすらも愛情を受けた事のない孤独な女性と、家族にすら愛情を見せた事のない不器用な老年の男性の間に芽生えながらも、非情な結末を迎える愛の物語である。作品の完成度の高さと従来のアメリカ映画との異質性を高く評価され全米だけでも1億ドルの興行収入を記録した。さらに、第77回アカデミー賞において、マーティン・スコセッシ監督の『アビエイター』との「巨匠対決」を制し作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞の主要4部門を独占したのを始め、多数の映画賞を受賞した。

脊髄小脳変性症を題材にしたドラマ『1リットルの涙』

木藤亜也は中学3年の時、頻繁に転んでしまうなどの体の不調を訴え、光生会病院で受診、その後医師から、手足や言葉の自由を徐々に奪われながら最後には体の運動機能を全て喪失してしまう難病「脊髄小脳変性症」と診断される。小脳、脳幹、脊髄が徐々に萎縮してしまう疾患であり、箸がうまく持てない、よく転ぶといった症状から始まり、進行するにつれて歩けなくなったり、字が書けなくなったりする。最終的には言葉も話せなくなり、寝たきりになり、最悪の場合は死に至ることもある。小脳、脳幹、脊髄が萎縮していっても大脳は正常に機能するため知能には全く障害がない。つまり、体が不自由になっていくことを自分自身がはっきりと認識できてしまうのである。彼女は、体の自由が利かなくなることと自分の意識が変わることのない現実の狭間で生き抜いていく。

 

脊髄小脳変性症という病気を持つ主人公のドラマです。だんだん歩けなくなり最後は寝たきりになる進行性の病気で、理学療法士がリハビリを担当することも実際にあります。主人公を支える作業療法士の姿が印象的で、このドラマに影響されて作業療法士の道を選んだという方も少なくありません。

身体だけでなく心もケアするのが作業療法士や理学療法士の仕事であるということが伝わってくるドラマです。

事故で半身不随になってしまった高校生『ウィニングパス』

高校生の健太はある晩、バイクを走らせていて事故を起こしてしまう。一命はとりとめたものの、脊髄損傷のため半身不随になってしまう。自分の状況が受け入れられず、親友や恋人も拒絶。死まで考える健太。しかし家族の愛情や友人に支えられ、やがて健太は退院し社会復帰を果たすが、そこにも問題がヤマ積みだった。そんな中、入院中に出会った男性に車椅子バスケットボールのチームに誘われる。健太は次第にその魅力に取りつかれ猛練習を始めるのだった。

精神科医の葛藤を描く『パッチアダムス』

1969年、生きる道を見失っていたアダムスは、自ら精神病院に入院した。しかし立ち直った彼は精神科医を目指し、ヴァージニア大学医学部に入学した。そして「笑い」を重視した療法を考え出す。
実話をもとにした感動のドラマ。町医者として12年間、15万人を越える患者を無料診療したハンター・アダムスを描いている。主役のアダムスにはロビン・ウィリアムスが扮し、「笑い」で心を治療するアダムスの精神をみごとに具現化した。笑いと優しさの伝染力が、時には病気の憂うつに勝る。そんな「パッチ」アダムスの「葛藤する時代」を克明に描いてゆく。アダムスが恋をする女学生役のモニカ・ポッターの清楚な美しさと、学友を演じたフィリップ・シーモア・ホフマンにも注目したい。

パーキンソン病の患者と医師の物語『レナードの朝』

神経科医オリバー・サックスが実体験をつづった著作をもとに、30年にわたる昏睡から目覚めた患者と彼を救おうとする医師の交流を、ロバート・デ・ニーロとロビン・ウィリアムズの共演で描いたヒューマンドラマ。1969年。ニューヨーク、ブロンクスにある慢性神経病患者専門の病院に赴任したセイヤー医師は、話すことも動くこともできない患者たちに反射神経が残っていることに気づき、訓練によって彼らの生気を取り戻すことに成功する。ある日彼は、30年前にこの病院に入院して以来ずっと眠り続けている嗜眠性脳炎の患者レナードに、まだ認可されていないパーキンソン病の新薬を投与する。そしてある朝、レナードはついに目を覚ます。監督は「ビッグ」「プリティ・リーグ」のペニー・マーシャル。

半身不随の富豪と介護者の物語『最強の二人』

パラグライダーの事故で首から下が麻痺してしまった富豪の男と、介護役として男に雇われた刑務所を出たばかりの黒人青年の交流を、笑いと涙を交えて描く実話がもとのドラマ。まったく共通点のない2人は衝突しあいながらも、やがて互いを受け入れ、友情を育んでいく。2011年・第24回東京国際映画祭で東京サクラグランプリ(最優秀作品賞)と最優秀男優賞をダブル受賞した。

以上、理学療法士・作業療法士を目指している方にお勧めのドラマ・映画8選をピックアップしてみました。勉強の合間の息抜きや、モチベーションを上げるためにもぜひ見てみてくださいね。
参考サイト:映画.com

介護支援ロボットが公的保険制度の適用対象に。理学療法士・作業療法士との関わりは?

介護支援ロボットの公的保険制度

2020年度に効果を見極め、介護作業の負担軽減や効率化といった効果を認めれば、21年度の介護報酬改定に反映します。

政府は介護ロボットの市場規模を20年までに約500億円に成長させる目標を掲げており、高齢化が進むなか、負担を軽減する介護ロボに関心が向かうでしょう。

関連サイト:介護ロボットの開発・普及の促進(厚生労働省)

厚生労働省は「パワーアシストスーツ」などの介護支援ロボットを公的保険制度の適用対象にする検討に入る。2020年度に効果を見極め、21年度の介護報酬改定で対象に加えるかを判断する。介護施設では人手不足や職員の高齢化が課題だ。保険の適用対象となるロボットを広げ、介護の生産性を高める。効果測定に必要な関連費を20年度の概算要求に盛り込む。介護作業の負担軽減や効率化の効果を認めれば、21年度の介護報酬改定に反映する。現在、ロボットの導入が介護報酬で加算されるのは「見守りセンサー」を導入する特別養護老人ホームなど一部に限られる。介護者の腰に着けて作業を支援するパワーアシストスーツや、要介護者の歩行を支える「アシストカート」などは、都道府県の基金を通じて導入時に1機器あたり最大で30万円程度を支給するにとどまる。

ロボットの導入を後押しする背景には介護業界の人手不足がある。介護業界で働く人は16年度時点で190万人。厚労省の試算では25年度に245万人が必要で、55万人が不足する。18年度の介護関係者の有効求人倍率は全職種の2・7倍に達し、採用難が深刻だ。介護業界はロボットによる効率化が欠かせない。

政府は15年時点で24億円強だった介護ロボットの市場規模を20年までに約500億円に成長させる目標を掲げた。ロボットが普及すれば、技術革新による単価の低下や性能の向上につながるとも期待される。

介護支援ロボに公的保険適用 厚労省検討 :日本経済新聞 より

理学療法士にとっての介護支援ロボット

介護業界の人手不足問題に向き合う今回のニュースは、介護現場で働く理学療法士・作業療法士にとっては非常に関わりが深いです。

介護支援型ロボットは理学療法士や作業療法士などの療法士の肉体的な負担を軽減してくれるでしょう。リハビリ業務は自力で立ったり歩いたり出来ない人を抱えなければならず、身体的な負担から腰痛を発症することも多く、労働環境問題になっています。

肉体的に重労働な作業はロボットが担い、リハビリのアプローチ内容や指導方法を決定する場面で療法士が活躍するという仕事の棲み分けができると理想的ですね。

また、患者さんにとってもメリットがあります。時間に関係なくリハビリが行えるためです。どうしても理学療法士・作業療法士が提供するサービスには時間的な拘束があります。しかしロボットが普及すれば時間を気にせず介助をつけることができるため、安心です。

リハビリ分野で活躍するロボットは、今回保険適用が検討されている介護支援型ロボットだけではありません。患者さんの自立を促す自立支援型ロボットや、コミュニケーション型ロボット、セキュリティロボットなど、最新の技術を駆使して続々と新しいロボットが開発されています。

今回の保険適用に後押しを受け、理学療法・作業療法に関わるロボット事業がより発展すると良いですね。

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