認定理学療法士と専門理学療法士~必要とされる理学療法士になるために必要なスキル

現在、理学療法士の有資格者は全国に20万人以上います。そして、年間約1万人前後が新しく理学療法士の仲間になっています。理学療法士の人数がどんどん増えていくこの状況を鑑みると、これから必要とされる理学療法士になるためには、理学療法士としての自分のスキルを高めていく必要があると考えられます。

そこで今回は、理学療法士としてのスキルアップとして、認定理学療法士と専門理学療法士、またそのほかの方法についてまとめます。

認定理学療法士と専門理学療法士について

認定理学療法士は、日本理学療法士協会によって作成された研修プログラムを修了すると得ることができる資格です。

この資格はより理学療法士としての能力水準を高めることを目的に作られています。そして「認定理学療法士を取得した人」を対象に、特定の専門理学療法士分野をより深く知り、その分野において高度な能力を有する人たちに与えられるのが専門理学療法士です。

どちらも理学療法士としての能力を高めるために作られたものであり、理学療法士協会が定めた一定以上の基準を満たす必要があります。もっともっと専門性を極めて求められる理学療法士になりたい!という方に是非目指していただきたい資格です。

認定理学療法士の取得状況は下記の通りです。

認定理学療法士の取得状況
総会員数:136,357名
認定理学療法士取得者数(延べ人数):16,434名
認定理学療法士取得者数(実数):14,567名
※2023年3月31日データ
引用元:認定理学療法士の取得状況

 

また、専門理学療法士の取得状況は下記の通りです。

専門理学療法士の取得状況
総会員数:136,357名
専門理学療法士取得者数(延べ人数):3,438名
専門理学療法士取得者数(実数):1,712名
※2023年3月31日データ
引用元:専門理学療法士の取得状況

理学療法士以外の資格を取得するのも有効

理学療法士は、さまざまな手段を用いて対象者の社会復帰を支援します。他の資格を取得するためには勉強しなければいけないため自己研鑽にもなりますし、そのような意味でも、関連のある資格を取得しておくことは有意義だといえます。

例えば介護支援専門員(ケアマネージャー)や住環境コーディネーター。理学療法士として働く上で関わりの深い仕事なので、スキルアップのためにも取っておくと良いでしょう。また呼吸認定療法士という資格も、呼吸療法を実施する業務のある理学療法士は取ると良い資格です。

また、アスレティックトレーナーの資格も関連資格と言えますが、検定試験の難易度は非常に高いです。公式の合格率発表はありませんが、平成27年の柔道整復師の合格率が65%程、鍼灸師の試験が、70%後半なのに対し、10%以下と言われています。将来帯同トレーナーを目指す方などは、険しい道のりではありますが資格取得を目指す方もいます。

理学療法学科の教員、研究員、大学院に進学するという道も

理学療法士には大学教員や研究員を目指すという道もあり、また希望の就職をするために大学院に行くという方法もあります。より理学療法士として専門性を突き詰めていきたいと進学する方も多くいます。理学療法士が活躍していく臨床の現場でも、大学院で研究する際も、思考過程が「仮説検証」という点で同じですので、大学院で獲得した論理的思考能力は、必ず臨床で活きるでしょう。

大学院に進学するためには、理学療法士の資格を取る際に大学に行くか、高度専門士という称号が付与される専門学校を卒業する必要があります。高度専門士の取れない専門学校を卒業していても、再度大学で学び直さなければ大学院に進むことができませんので、学校選びの際に注意しましょう。

国家資格は一生持っていられる資格です。長く働き、キャリアアップをしていくために、入学前からビジョンを持って条件に合う学校を探しましょう。

理学療法士・作業療法士の国家試験とは?実施時期や難易度はどのくらい?

国家資格である「理学療法士」や「作業療法士」になるには、高校卒業後、3年制以上の専門学校または4年制大学に進学し、すべての科目の履修を終えて卒業年次に、国家試験を受験し合格しなければなりません。

この記事では理学療法士・作業療法士の国家試験の実施時期や概要、難易度などについて詳しく紹介いたします。

学療法士・作業療法士の国家試験とは?

理学療法士・作業療法士は「国家資格」です。国家資格とは、国が法律で定めた、国や地方自治体などが認定する資格。民間資格に比べて取得が難しく、理学療法士・作業療法士の場合は養成校で学びしっかりと勉強をした上で国家試験に臨む必要があります。

養成校では、学ばなければならないカリキュラムが定められています。大きく分けて、一般教養科目・専門基礎科目・専門科目・臨床実習の4種類です。

通常、理学療法士・作業療法士の国家試験では在学中に臨床実習を行う事で実技試験が免除され、筆記試験を受験している形になります。

これらを学ぶことは決まっていますが、国家試験合格のためにどんな勉強をするのか?苦手分野の克服方法や対策スケジュールの立て方など、養成校によってさまざまな取り組みを行っています。

学校によって特色が違いますので、学校選びの際は「国家試験対策をしています」という情報だけでなく、「どんなことをしているのか?」まで、しっかり判断して決めると良いでしょう。

理学療法士・作業療法士の国家試験の実施時期は?

理学療法士・作業療法士の国家試験は年に一度だけ実施されます。毎年2月の最終日曜日(またはその前後)に実施されていますが、正確な実施日が毎年決まっているわけではありません。

例えば、2022年2月の最終日曜日は27日ですが、実際の国家試験は2月20日に実施されます。

理学療法士・作業療法士の国家試験難易度は?

近年の理学療法士・作業療法士の国家試験合格率の全国平均は80%前後で推移しています。

3年または4年間、養成校でしっかりと勉強した人でも20%ほどは不合格になる可能性もあると考えると、決して優しい試験というわけではないでしょう。

さらに、現役の学生ではなく養成校を卒業した後に受けた場合、合格率は理学療法士で40%、作業療法士で20%と大変低くなります。この数値によって、学校でのリアルタイムな国家試験対策が重要ということがわかりますね。

国家試験対策は、きちんとスケジュールを立て、1年生から国家試験合格を見据えて計画的に実施する必要があります。

国家試験は最低でも6割以上の得点を取ることがボーダーラインとされています。国家試験は280点満点ですので、168点以上取れれば合格することができます。

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2つの医療系国家資格、理学療法士と看護師の違いとは?2040年に最も求められる職業

リハビリテーション医療と看護の世界。理学療法士と看護師、同じ医療系資格でありながら、その役割と働き方には大きな違いがあります。

患者様の身体機能の回復を目指す理学療法士と、総合的なケアを提供する看護師。それぞれの専門性や職場環境、勤務形態の特徴は何でしょうか。

この記事では、この二つの職業を詳しく比較し、それぞれの魅力と課題を探ります。医療系のキャリアを考えている方、より専門的なケアに携わりたい方にとって、職業選択の一助となれば幸いです。

-目次-

理学療法士と看護師の違いとは

医療の専門家であり、チーム医療として共に協力する関係である理学療法士と看護師。似ている2つの医療系国家資格ですが、どのような違いがあるのでしょうか。

まず、看護師は患者様のケアが仕事内容のほとんどを占めますが、理学療法士はリハビリテーションを通してけがや病気で動かなくなった機能などの「回復」、また今使える機能を「維持・悪化予防」することが目的です。

また、職場についても違いがあります。看護師は、総合病院から個人経営のクリニックまで全ての医療機関が職場になります。また、介護施設や保健施設、保育園、一般企業など医療分野以外にもたくさんの就職先があります。

理学療法士の主な職場はリハビリテーション科がある医療機関や老人保健施設、デイケア(通所リハビリテーション)などの介護施設です。リハビリテーション科は総合病院やリハビリテーション病院には必ずあり、整形外科を中心としたクリニックなどにもたくさんあります。近年は在宅高齢者のお宅を訪問する「訪問リハビリ」や、近隣の高齢者を施設に招いてリハビリを提供する「通所リハビリ(デイケア)」などが増えており、理学療法士の需要は増加しています。

働く上で気になる違いでいえば、勤務形態でしょう。入院設備がある医療機関において看護師は365日24時間配置が基本となるため、看護師はシフト勤務といわれる勤務形態になります。勤務時間や休日は一定ではないため、看護師の生活はどうしても不規則になりますが、その分理学療法士より給与は高い傾向があります。

理学療法士の場合は日勤が基本であり、8時から9時に出勤し、17時から18時に仕事が終わるというのが一般的です。一部医療機関では遅番や早番がありますが、夜勤はありません。規則正しい生活を希望する人等、働きやすさを重視する方には理学療法士の方が向いていると言えるでしょう。

このように、2つの国家資格は様々な違いがあります。これから福祉医療系の国家資格取得を目指す方は、自分の将来像をイメージしながら考えてみてください。

理学療法士の資格・仕事について

理学療法士は、作業療法士や言語聴覚士と並ぶリハビリテーション医療の専門職です。身体に障がいのある人の基本的な動作能力の回復や維持、悪化の予防などを行う仕事です。具体的には、起き上がりや立ち上がり、歩行の訓練など、運動的手段や電気的刺激・マッサージなどの物理的手段によって運動機能の回復を図ります。

また、身体のリハビリだけではなく患者さんの「心のケア」も重要です。今まで不自由なくできたことができないもどかしさで、イライラしてしまったりストレスを抱える患者さんは多くいらっしゃいます。このようなストレスを減らすため、気分転換のレクリエーションや、話を聞くといったことも理学療法士の大事な仕事です。そして、患者さんを支えるご家族とコミュニケーションを取りながら、一緒に患者さんを支えていきます。

理学療法士は国家資格のため、養成校で学ぶことが必須です。養成校にて国家資格の受験資格を得て、その後受験をし初めて理学療法士として認められます。

養成校へは、高校を卒業してからすぐに入学する方もいますし、最近は社会人からのキャリアチェンジで専門学校などの養成校に入学する方も多くなっています。理学療法士は、病院・診療所などの医療機関をはじめ、介護老人保健施設、保健所などの行政機関、健康増進のためのフィットネスなどのスポーツ分野でも活躍しています。

看護師の資格・仕事について

看護師は、医師の診察補助をし、病気や障害を持つ人への日常的・医療的なケアと、病気の予防や健康増進を目的とした患者への教育指導などを行います。具体的には、血圧・脈・体温などを測りバイタルチェックを行なって医師に報告したり、点滴・注射・採血などの業務をおこないます。また、食事や入浴、排泄など入院中の患者の身の回りのお世話なども行っており、主に病院で看護師の持つ仕事の比重は大きいです。

看護師は患者と接する時間がもっとも長い職業と言われています。看護師が行なうケアの質は患者の回復に大きく影響します。自分が身につけた知識や技術、丁寧なケアが患者の回復に直接結びつき、人の役にたっていることを実感できる職業です。

看護師も理学療法士同様、国家資格を持たなければ働くことができません。養成校の特徴としては実習が多く、学生生活が厳しくなりがちだということです。看護師は、夜勤が多い仕事としても知られていますが、看護師として就職すると365日24時間稼働している病院で働き、不規則な勤務時間で働かなければならないケースがほとんどですので、学生のうちに夜勤に慣れておくということも必要だといえるでしょう。

また、病院で勤務するイメージのある看護師ですが、高齢化が進む日本では訪問看護師の需要が高まっています。政府も後押しをしており、自宅に戻る患者の多い病院に対する評価を高くする・在宅医療に取り組む診療所に診療報酬を手厚く配分する、などといった施策を行っています。

訪問看護の仕事は「在宅医療」に対しての知識や技術を身につける必要があります。患者さんが退院したらおしまい、ではなく、自宅でより快適に暮らしていけるよう手助けをする視点を持たなければなりません。これからの看護師には、訪問看護に対する知見も求められています。

有資格者支援金で資格取得をサポートします

日本リハビリテーション専門学校では、作業療法士や理学療法士を目指している医療福祉系の資格をお持ちの方のキャリアアップを応援する為、有資格者支援金制度を設けています。

対象資格

介護福祉士/保育士/社会福祉士/精神保健福祉士/介護福祉士実務者研修修了者/介護職員基礎研修修了者/介護職員初任者研修修了者/ホームヘルパー(1級もしくは2級)/柔道整復師/はり師/きゅう師/あんまマッサージ指圧師/看護師/臨床工学技士/臨床検査技師/診療放射線技師/救急救命士/歯科衛生士/健康管理士/福祉用具プランナー/福祉住環境コーディネーター/福祉用具専門相談員/アスレティックトレーナー/音楽療法士/准看護師/教育職員免許状(普通免許状)/健康運動指導士/公認心理師/臨床心理士

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