作業療法士になるためになぜ臨床実習をするの?実習ではどんなことするの?

作業療法士を目指す場合、養成校在学中に必ず「決められた時間数以上の臨床実習(学外での実習)」を行わなければなりません。

今回は、臨床実習とは何か、なぜ実習が必要なのかについてまとめています。

作業療法士の実習について

作業療法士になるためには、臨床実習を行う必要があります。臨床実習は、作業療法士が実際に活躍する校外の医療・福祉施設において、専門家として必要な知識・技術を習得するために行われます。

学校によってカリキュラムに違いはありますが、指導者の助言・監督の下で実施される主な臨床実習は次の3種類です。

■臨床実習I(見学実習):1~2年次に1日~1週間程度
実際のリハビリテーションの現場や関連職種の仕事の様子を見学します。一連の業務内容を理解して、作業療法士としての基本的姿勢を身に付けます。

■臨床実習II(評価実習):2~3年次に2~3週間を2回程度​
身体障害・精神障害両領域の実際の対象者に作業療法評価を実施し、医療面接、検査・測定、動作観察などの技術・能力を身に付けます。

■臨床実習III(総合実習):最終年次に6~8週間を2回程度
身体障害、精神障害、老年期障害、発達障害のうち、2領域以上で長期的に対象者を担当し、評価、目標設定、治療計画立案、治療までを実施します。また、組織の一員としての実務や業務管理を経験し、作業療法士としての実践的な能力を身に付けます。

他にも,教員とともに地域でのさまざまな活動に参加し,コミュニケーションスキルなどを高めます。

それぞれの臨床実習は異なる施設で実施される場合もあります。実習施設が遠隔地であれば、生活拠点を一時的に寮やホテルに移しての実習となります。

なぜ、実習を行うの?

作業療法士を目指す学生の間に、多くの時間を患者様と接することで、実践的な力が身につきます。学内教育で習得した知識・技術を臨床現場で統合することが目的です。

学内教育と学外での臨床実習はどちらも重要で、両者の相乗効果によってより高い学習効果を得ることができます。数多くの症例に触れることで技術が身につき、就職後の患者様の機能回復にもつながります。

作業療法士や理学療法士といったリハビリテーション専門職に求められる、適切な行動・態度、そして責任感を修得することも臨床実習の目的としてあります。作業療法士としての観点の前に、就職した後は社会の一員として、礼儀やマナーといったものも身に着けておかないといけません。実習の間は、これを学べる重要な機会です。

実習を重視している学校を選ぼう

作業療法士を目指せる学校であれば、実習は必須で、厚生労働省が定める実習時間は990時間です。ですが、実習に力を入れている学校もあれば、必要以上の実習は行なわない学校など、それぞれ特徴があります。

学生からすると実習は「寝る間もなく大変そう」「授業で学んだことが発揮できるか不安」といったイメージがあるかもしれません。ですが、近年では実習生に対するストレス、実習指導者にかかる負担などを考慮して、決められた時間内で終われるように自習内容も調整されています。

また、先だって述べたように、実習は将来就職する上で非常に重要な学習の機会です。より多くの時間、臨床現場に触れ、就職した後の準備をしておく必要があります。

学校選びの際は、実習を重視しているかどうか確認してみましょう。

介護士から理学療法士・作業療法士へキャリアアップするメリットと労働条件や給与の事

介護士として忙しい毎日を過ごしながら、利用者様と接していく中で「もっと知識が必要だな」「もっと利用者様に良いサービスを還元したいな」と考える方は多くいらっしゃいます。そうした方々の多くは、より医療の専門的知識や技術を身に付けるために、「理学療法士・作業療法士」へキャリアアップを目指されています。

そこで今回は、介護士から理学療法士・作業療法士へキャリアアップするメリットや、理学療法士・作業療法士という仕事の労働条件や給与の事についてまとめています。

介護士の経験が活かせる理学療法士・作業療法士

理学療法士・作業療法士は、お年寄りや、身体に障がい がある方などに対してリハビリテーションを行います。患者さんによって、そしてアプローチの仕方によって業務は実に様々です。

今、介護の現場で働いている方であればお分かりかと思いますが、単に技術を駆使して身体を回復させるわけではなく、患者さんとのコミュニケーションが重要な仕事です。患者さんの気持ちになって考え、どう声掛けをするか工夫したり、ご家族の協力を仰いだり、人間関係の構築がとても大切です。

そして、それは福祉・医療という分野であればどの仕事にも言えることですよね。つまり、既に介護の現場で働いている方は理学療法士や作業療法士になる適性があり、他職種から目指す人よりも一歩前を進んでいるということになります!今の仕事を活かしながらさらにスキルアップできることがメリットです。

コミュニケーション力は、一朝一夕で身につくものでもありません。患者さんと向き合っていかなければならない職種上、既に実務経験があるということは大きなアドバンテージとなります。

また、理学療法士・作業療法士の仕事では、他の関連する職種の方々(医師や介護福祉士、言語聴覚士、社会福祉士など)と協力して患者さんへのアプローチを考える場面があります。

例えば、リハビリテーションの内容を考えるときには普段どんな生活をしているのか、どこで不自由を感じているのかを介護福祉士の方からヒアリングしたりします。患者さんを支えることは一人では成り立ちません。そういった際に、既に現場で働いている方であれば他職に対し理解が深く、また自身にもスキルがあるためより広い範囲でアプローチすることができます。

理学療法士・作業療法士の労働条件とは?

介護の仕事の中には、夜勤や休日出勤が多いものもあるため、転職して労働条件を変えたいと思う方は多くいらっしゃると思います。休日や勤務時間が不定期の生活では、うまく身体をコントロールしなければ疲れが取れず、ストレスを感じて睡眠不足などの不調に陥ってしまいます。そうすると長く勤めることが苦しくなってしまうので、労働条件が生活リズムと合うかどうかは大切なポイントです。

理学療法士・作業療法士の仕事は、福祉・医療の仕事の中では労働条件が良い方です。日勤であることが多く、もちろん職場によりますが、朝8時~9時に出勤・夜6時~7時頃には業務が終わるパターンが多いようです。

早番・遅番などの働き方もありますが、患者さんを深夜まで起こしておく施設はないので、リハビリテーション業務に夜勤はありません。雑務や事務処理の残業で、遅くなってしまうこともあるようですが、それはどんな仕事でも条件は同じですね。

休日については、職場が土日に空いているかどうかによって大きく変わります。施設で土日が休みの場合もありますし、病院勤務で平日に休みを取ることも多くあります。平日休みの職場であれば、週休二日のシフト制が一般的なようですが、日曜日定休でその他1日休みといったパターン・全く不規則な曜日に休む職場もあるようです。

理学療法士・作業療法士の給与って?

やりがいや誇りをもって仕事をしていく上でも、対価としての給与については誰もが気にするところかと思います。

介護の現場といっても様々な仕事がありますが、今の仕事のスキルにプラスして、理学療法士・作業療法士の資格を取った方であれば、技能が高く・経験則という面でも大きくアドバンテージがあります。その結果、待遇よく就職することができ給与が上がる例は少なくありません!

厚生労働省の平成26年度賃金構造基本統計調査によると、理学療法士の平均年収は31.3歳で約390万円となっています。(福祉・医療の他資格の中で、例として介護福祉士からの転職を想定した場合)

同様の調査で、介護員(介護福祉士など)の平均年収は38.7歳で約307万円となっているので、転職した場合は年収が約87万円上がることになります。

これは、理学療法士・作業療法士になるためにかかった学費等が約500万円だとしたら、6年働けば上回ってしまう額です!

キャリアチェンジへ思い切って踏み切れないという方もいらっしゃると思います。ですが、かかった学費をその後の給与で上回れるように、勉強に労力を割いたとしても、学んだことは必ずいつかプラスになります!

そして、介護の現場で働いている人であれば今までの道を活かしながらキャリアアップすることができます!転職をお考えの方は、理学療法士・作業療法士の資格取得にチャレンジしてみてください。
 

有資格者支援金で資格取得をサポートします

日本リハビリテーション専門学校では、作業療法士や理学療法士を目指している医療福祉系の資格をお持ちの方のキャリアアップを応援する為、有資格者支援金制度を設けています。

対象資格

介護福祉士/保育士/社会福祉士/精神保健福祉士/介護福祉士実務者研修修了者/介護職員基礎研修修了者/介護職員初任者研修修了者/ホームヘルパー(1級もしくは2級)/柔道整復師/はり師/きゅう師/あんまマッサージ指圧師/看護師/臨床工学技士/臨床検査技師/診療放射線技師/救急救命士/歯科衛生士/健康管理士/福祉用具プランナー/福祉住環境コーディネーター/福祉用具専門相談員/アスレティックトレーナー/音楽療法士/准看護師/教育職員免許状(普通免許状)/健康運動指導士/公認心理師/臨床心理士

詳細は↓下記画像リンク↓をタップしてご覧ください。

子どもたちと関わる仕事「発達分野の作業療法士」と保育士・幼稚園教諭との違い

子どもとかかわる職業の国家資格というと、「保育士(または幼稚園教諭)」を真っ先に考える方が多いと思います。しかし、リハビリテーションの4分野のひとつに「発達障害分野」があり、主に作業療法士が子どものリハビリテーションに関わります。

「子どもともかかわりたいけど、広い意味で人の役に立つ資格が欲しい」という方には「作業療法士」という選択も考えてみてください。

需要が増える発達分野の作業療法

発達分野の作業療法は、主に障がいを持っている子どもたちに対してリハビリテーションを行います。子どもだけでなく、そのご家族と共にどのような将来を歩んでいくかを考えていくことも大切な仕事です。多くの場合は、子どもにとって作業療法は「遊び」の延長にあり、楽しみながら発達を促していけるようサポートします。

また、障がいのある子どもだけでなく、近年ではスマートフォンやタブレット機器で遊ぶ子どもが増え、握力が低下し鉛筆が持てない・手が器用に動かせないといった子どもも増えているようです。

ハート・オブ・イングランドNHSファウンデーション・トラストの小児作業療法の責任者、サリー・ペイン(Sally Payne)氏は、10年前の子どもが持っていた手の力と器用さを今の子どもたちは持っていないと、ガーディアンに語った。

「入学してくる子どもたちには鉛筆が与えられるものの、基礎運動能力がないため、鉛筆をうまく持てない子どもが増えている」ペイン氏は言う。「鉛筆を握って動かすには、指の筋肉をしっかりコントロールする必要がある。こうしたスキルを子どもたちが習得するには、経験を積むことが必要だ」

6歳の息子を持つある母親は、息子の鉛筆の持ち方があまりにもおかしかったため、6カ月にわたって毎週、作業療法士のもとへ通わせたと言う。

雑誌『Journal of Hand Therapy』に2016年に掲載された記事は、若年層の握力が1985年に比べ大幅に低下していることを明らかにした。

(参考→https://www.businessinsider.jp/post-163085)

 

このように、手や身体を動かす機会が減っている現代では、小児領域の作業療法が求められる場面も増加しています。

どんな子どもに作業療法をするの?

では、実際に作業療法を必要としている子どもはどんな症状があるのでしょうか。いくつかに分類してご紹介します。

1.「身体を動かすこと」について発達が未熟な場合

・文字を書くときに手の指がうまく動かせない、手首が握りこめない

・字の大小や強弱を自在に操れない

・お箸やスプーンを上手く握れない、使えない

 

2.「身体のまとまりを把握すること」について発達が未熟な場合

・服を着るときにどうしたらいいかわからなくなる

・壁に身体がぶつかってしまったり段差につまずいてしまう

・バットなどの道具をうまく振ることができない

 

3. 「物をとらえること」について発達が未熟な場合

・投げられたボールをうまくキャッチできない

・縄跳びのタイミングがわからなくなる

 

4.「頭で理解して動くこと」について発達が未熟な場合

・靴ひもを結ぶことができない

・料理やスポーツなど連続した行動ができない

 

5.「人と協力して動くこと」について発達が未熟な場合

・ことばで言われただけでは行動に移せない

・スポーツをコミュニケーションをとりながらできない

・スポーツで負けると怒りを抑えられない

 

一例のみをご紹介しましたが、実際は子どもによって症状は様々であり、複合的です。最適なリハビリテーションができるよう検査・面談を行い、どんなリハビリテーションが最も適しているかを考えることが大切です。

また、「身体が器用に動かせない」ことは身体だけの問題ではなく、考える力やコミュニケーションの力と合わせてリハビリが必要な場合が多くあります。ですので、心の発達も同時に考えていく必要があるわけです。

どんなリハビリテーションをするの?

次に、具体的にはどんなリハビリテーションをするのかいくつか例をあげてみます。

1.「身体を動かすこと」についてのアプローチ

・全身を伸ばす活動や階段の上り下りを一緒にやってみる

・重たい物を持ち上げたり、腕立て伏せなどの筋肉を使うことをやってみる

・トランポリンなどで全身を動かしてみる

・手あそびや指あそび、折り紙やお手玉などをしてみる

 

2.「集中すること」についてのアプローチ

・あそんだ物を自分で片づけてみる

・リハビリテーションの予定や時間割を伝え集中を高める

 

3.「頭で理解して動くこと」についてのアプローチ

・リハビリテーションの前に絵や写真で内容を理解させる

・実際に手や身体を動かしてリハビリテーションの流れを経験してみる

 

4.「人と協力して動くこと」についてのアプローチ

・ 人を真似するところからはじめてみる

・自分の動きを鏡やビデオに撮って一緒にみてみる

・同じリハビリを人がしている様子を見せる

 

作業療法のリハビリテーションは「一緒に遊ぶ」「手先を動かす積み木や編み物をする」といったイメージを持ちがちですが、実は上記のような「教育」に則したリハビリテーションを多種多様に行っています。

保育士と幼稚園教諭の違いと作業療法

最後に、保育士資格と幼稚園教諭はどのような違いがあるのでしょうか。

保育士資格は、福祉分野での国家資格で、管轄は厚生労働省です。そのため、保育所だけでなく、色々な児童福祉施設や民間の保育事業など、幅広く活躍できます。

対して幼稚園教諭免許は、学校教育法に基づいて教育を行う「教員」であり、管轄は文部科学省です。「幼稚園教諭」という名前の通り、主に幼稚園で働きます。

そのため、「子どもの成長を支える仕事がしたい」という方にとっては、幅広い職場で活躍できる「保育士資格」を取得しておいた方が将来的にも良いかもしれません。もちろん、「どうしても幼稚園の先生なりたい」という方には、幼稚園教諭資格の取得が必要です。

発達分野のリハビリテーションでは、保育士や幼稚園教諭に似た仕事が多くあります。子どもが楽しみながらリハビリテーションができるか・楽しむことに集中できるか・その上で成長させられるかが重要になってきますので、保育士や幼稚園教諭と重なる部分もあるのかもしれません。

子どもと関わる仕事がしたい方・興味のある方は、作業療法の発達分野についても着目してみてください。
 

有資格者支援金で資格取得をサポートします

日本リハビリテーション専門学校では、作業療法士や理学療法士を目指している医療福祉系の資格をお持ちの方のキャリアアップを応援する為、有資格者支援金制度を設けています。

対象資格

介護福祉士/保育士/社会福祉士/精神保健福祉士/介護福祉士実務者研修修了者/介護職員基礎研修修了者/介護職員初任者研修修了者/ホームヘルパー(1級もしくは2級)/柔道整復師/はり師/きゅう師/あんまマッサージ指圧師/看護師/臨床工学技士/臨床検査技師/診療放射線技師/救急救命士/歯科衛生士/健康管理士/福祉用具プランナー/福祉住環境コーディネーター/福祉用具専門相談員/アスレティックトレーナー/音楽療法士/准看護師/教育職員免許状(普通免許状)/健康運動指導士/公認心理師/臨床心理士

詳細は↓下記画像リンク↓をタップしてご覧ください。