女性が一生続けられる仕事「作業療法士」|20代で取得する国家資格

一生続ける仕事ってなんだろう?20代後半女性の悩み

現代の女性は「結婚しても専業主婦にならず働きたい」「やりがいのある仕事をずっとしていたい」と思う方が多いようですが、実際に出産・育児へのサポートが整っている会社に勤めている方はまだ少ない状況です。

夢を持って就職し、20代前半を忙しく過ごしてきた女性たちにとって、本当にやりがいのある仕事についてじっくり考える機会はあまりなかったのではないでしょうか。30歳を一区切りとして、ここで一旦仕事についてきちんと考えよう、という方が多くいらっしゃいます。

今回は、「30歳までに、一生続けられる仕事を見つけたい!」と思う20代後半の女性に向けて、国家資格である作業療法士という道をご提案したいと思います!

国家資格・作業療法士が人気の理由とは?

作業療法士は簡単に言うと、リハビリテーションの専門家です。日常生活がうまくできない人や、障がいのある方に対してリハビリを行います。

国家資格だから「手に職を持つ」ことができる点と、医療の現場だけでなく福祉・教育でも活躍の場が広がり将来性が高いことから、作業療法士はキャリアチェンジを目指す女性に人気の職業です。雑誌「週刊ダイヤモンド」でも、20年後に需要が増加している医療系職種ランキングの2位に作業療法士があげられました。

1位:看護師、理学療法士
2位:作業療法士

 

特に、高齢化社会がより注目されてから、作業療法士や理学療法士といったリハビリテーションの仕事も脚光を浴びるようになりました。

高齢化社会に合わせて、「地域をあげてお年寄りを支えていく」という方針のもと各自治体が動き出しています。この動きの中でも、作業療法士は「ただ治すだけでなく生活全般やリハビリ後の将来も見据えてサポートをする」ということに特化した資格であり、これからますます需要が高まることが期待できます。給与や待遇についても良くなることが予測されます。

また、作業療法士の仕事は、以下の理由から女性に向いていると言えるでしょう。

●結婚、出産後に復職しやすい
●一生続けられる仕事である
●全国どこにでも需要がある(転勤や引越しも安心)
●医療職でも夜勤がなく、勤務形態が良い

異業種からのキャリアチェンジ

医療や福祉の業界に関わる仕事をしている人がキャリアアップするために作業療法士を目指すことも多いですが、全くの異業種からのキャリアチェンジも珍しくありません。

作業療法士の仕事が、「人を助ける・やりがいのある仕事」だということがキャリアチェンジを決意する理由となっているようです。

接客業や営業職で「人と関わる仕事が好き」という方が、お年寄りや子供とコミュニケーションをとって働いていく作業療法士に憧れることもあります。また、IT業界やメーカー勤務の方が、「直接ありがとうと言ってもらえる仕事がしたい」と作業療法士を目指すケースも見られます。

20代前半の頃は仕事に対して夢に溢れていて、新しいことを覚えることが楽しくても、20代後半になると徐々に「このままでいいのかな」「同じ毎日を繰り返して30代も過ごすのかな」と不安に思う方が多いようです。就職する前は給与重視だった方も、大人になるにつれて仕事のやりがいや将来性を大切に思うようになるのはごく自然なことではないでしょうか。

患者さんやご家族の人生に寄り添ってリハビリを行ううちに、自分が学ぶことも多くあると作業療法士の方は言います。自分自身やご両親も、いつかは高齢者になり、社会で人生を楽しく生きていけるようにどうしたらいいか考えていかなければなりません。これからの自分の将来についても考えていくきっかけをくれる仕事です。

趣味や経験が活かせる作業療法士の仕事

最後に、「医療の仕事は難しそうで自分には向かないのでは」と不安に思う方に、作業療法士の仕事内容についてご紹介したいと思います。

作業療法士は、身体機能回復と心のリハビリテーションを行います。理学療法士・言語聴覚士と共にリハビリ3資格とも呼ばれます。人の生活におけるあらゆる活動を本人が望む生活ができるようにしていく治療やサポートを行うことから、「生きがい支援のスペシャリスト」とも呼ばれています。

作業療法士の仕事は、人の生活におけるすべての「作業」に関わります。障がいのある方に対し、食事や着替えなどの基本的な生活の訓練や、仕事や学校など社会参加のための訓練、また、精神・心理面へのアプローチも行います。対象分野は身体、精神、発達、老年期と幅広いことが特長ですが、就職は1分野の専門家として、他の分野で学んだことも活かしながら活躍することが一般的です。

また、作業療法士は今の生活を豊かにするためにサポートするだけでなく、今後の人生についても患者さんと共に考えていきます。障がいがある場合に、どういったことに興味や価値を持って生きていくのかを見つける手伝いをします。

作業療法士になるためには、養成校で学び国家資格を取得する必要があります。実習や特別な機材などが必要になるため、独学では国家資格の受験資格を得ることができません。まず養成校に入学・卒業し、国家試験を受験・合格した場合に初めて作業療法士として認められます。

作業療法士に向いている人は、人への思いやりやコミュニケーションが好きな人。そして、趣味や経験があると尚良いでしょう。例えば美術が得意だったり、手芸が好きだったり、歌や楽器も有用です。自分の得意なアイテムを駆使してリハビリを考えていくのはとても楽しいですよ。

手先が不器用な方でも、「不器用な人の気持ちがわかる」という点で患者さんと信頼を作りやすいです。肝心なのはそういったリハビリのプログラムをすることが好きかどうかで、不得意であっても問題はありません。

30歳を目前にして、これからの将来について考え始めている方!国家資格を取得して、医療・福祉の現場で働くことも視野に入れてみてください!

 

動物・料理・アロマを活かした作業療法(リハビリテーション)で自分らしく働く

動物を介在した作業療法

動物介在療法・動物介在活動をご存知でしょうか?動物と触れ合いながら療法を行うことで、社会性の改善・ストレスの軽減・コミュニケーションの促進などの効果があるとされています。

主に精神分野にて注目を浴びていて、作業療法のプログラムに取り入れることも増えてきています。

例えば犬と触れ合い、ブラッシングをしたり食事を与えたりすることでコミュニケーションを取ります。作業療法のプログラムの中では比較的気軽に行えるため、患者さんの負担も少なく楽しく取り組めるようです。

介助犬のイメージの通り、犬が最もプログラムに取り入れられています。ですが、他にもキャットセラピーと呼ばれる猫を主役とした療法や、イルカや馬とふれあう療法もあります。

動物と関わることが好きな方、動物に関わる仕事や経験をお持ちの方は、ぜひそれを活かして作業療法に取り入れてみてください。

料理で広がる作業療法

包丁で細かい動きが必要な料理ですが、実は作業療法によく取り入れられています。食べることは人が生活するうえで重要な行為だからです。

東京ガスが作業療法士と協力して「障害のある人向けのレシピ本」も発売されています。「片手でクッキング」という本で、片麻痺者を対象にしたレシピ本となっているものの仕上がりは美しく一般人向けのレシピ本と同様の出来栄えが人気を呼んでいます。

片手で料理をする場合、例えばまな板にくぎをつけて食材を固定すると、片手で切ることができます。卵は片手で割るのは難しいですが、上からボウルに落として割り、あとで殻を取り除きます。

こういった工夫を作業療法士が考え、患者さんと一緒に試してみることで、患者さんが1人でも生活していけるよう支えることができます。なにより、自分で作ったできたての料理の味は格別ですよね。

料理が好きな方や主婦の方は、料理を使ったリハビリテーションを考えることで自分も楽しみながら働けるのではないでしょうか。

アロマセラピーを取り入れた作業療法

アロマというと、エステやサロンなどの美容業界のイメージがあるかもしれません。ですが、患者さんにとって癒し効果があり、作業療法にも取り入れられています。

日本リハビリテーション専門学校で実施された勉強会では、実際に病院で実践されているアロマセラピーを用いた作業療法について学ぶ機会がありました。

参加者は二人一組になり、精油を使用したアロマハンドトリートメントを体験する勉強会です。ペアの相手を患者さんと想定し、手を慈しみながらゆっくりとマッサージをすることで、「あなたを大切に扱っています」という気持ちを相手に伝えながら行うことがポイントだそうです。

実際に体験してみると優しくされているという気持ちが本当に伝わってきます。患者さんのセラピー効果だけでなく、作業療法士と患者さんの信頼関係を深める効果もあります。

作業療法士はこのように、人と人との関わりを深める魅力的な仕事です。「人を思いやる仕事をしたい!」という気持ちを再確認させてくれるプログラムとして、アロマセラピーは作業療法士にとっても学びのある療法でしょう。

このように、作業療法士のリハビリテーションの方法は様々あり、それぞれが得意なこと・好きなことを取り入れながら進化しています。

これから作業療法士を目指す皆さんは、型にとらわれることなく、新しい作業療法の形を見つけていってください!

作業療法士の平均給料は月●●万円!待遇や福利厚生の状況は?

作業療法士の給料は平均月●●万円

作業療法士の給料は、平均で月28万円前後となっています。(日本全国全体・2017年)年収は約400万円です。

注目すべきは平均年齢が33.3歳と若いところです。

作業療法士は比較的若い職業です。国家資格として認められたのは1966年ですが、もちろんすぐに多くの人が資格を持てたわけではありません。作業療法学の博士課程が設置されたのは1998年と遅いです。そのため、平均年齢が若くなっています。

平均年齢が若いということは、キャリアが浅い人でも昇進の可能性が高いことや、勤続年数を重ねることによっても給料アップが見込めるということがわかります。

また、男女の給料差が少ないため、性別に関係なく活躍することができるのも作業療法士の魅力のひとつでしょう。作業療法士は、出産や育児で一時的に現場を離れても戻ってきやすく、女性でもチーフや所長になりやすい仕事と言われています。

作業療法士の待遇は良い!福利厚生が手厚い

作業療法士の待遇は、他の医療系職種・福祉系職種に比べて比較的良いと言えるでしょう。

まず残業があまりない仕事というのがひとつあります。対象となる患者さんがいる仕事なので、夜遅くまでリハビリが長引くというようなことがないのは想像に難しくないと思います。事務仕事や雑務などもありますが、基本的には職場の就業時間内できっちりと区切られているケースが多いです。

また、看護師や介護士などには夜勤がありますが、作業療法士は夜勤がない仕事です。リハビリは施設が空いている朝~夕方の時間帯に行われるためです。
残業が少なく夜勤がないため、プライベートと仕事の両立がしやすく、日々の生活リズムを整えられるため人気の理由となっています。

そして、福利厚生が手厚いことが多いようです。女性が多く活躍していることもあり、休暇が取りやすくサポートも手厚いです。保育所の設置も最近は多くみられるようになりました。

もちろん働く職場によりますし、民間施設か公立施設かなども関わってきますので、職場選びの際には一つ一つの待遇をしっかりと見ていく必要があります。

また、先ほど残業がないことを待遇の良さの一つとしてあげましたが、作業療法士と比較すると、夜勤を行う看護師の方が給料は高くなります。

作業療法士として給料アップを目指す場合には、自ら勉強会やセミナーに赴いたり、他資格を取る時間にあてるなどして自分でできる事を増やしていきましょう。例えば介護福祉士の資格を併用したい場合、職場によっては相談すると職務の一環として資格取得を後押ししてくれるところもあります。

施設によって変わる給料・年収

働く場所によって給料は変わってきます。作業療法士が働く場所として多い3か所について、年収を例にとって挙げてみましょう。

1:病院やクリニック

病院やクリニックをはじめとする医療施設は、平均年収は350万円~450万円のようです。病院は規模が大きいところの方が年収が上がる傾向にあります。また、チーフや所長などに昇進することによって大きく給料を跳ね上げることが可能です。

2:老人ホームや介護ステーション

老人ホームや介護ステーションなどの介護施設は、平均年収は少し高い傾向にあり500万円前後が相場のようです。介護業界は国も後押ししていますし、求人を毎年増やしているのでその分給料も上がっています。ですが、その分体力面で負担が大きかったり、作業療法士としての仕事だけでなく介護分野に重点を置かなければならなくなったりするケースも考えられます。

3:障害者福祉施設や児童福祉施設

障害者福祉施設や児童福祉施設などの福祉施設は、平均年収250万円~400万円と、少し低い傾向にあります。需要が増している分野ではありますが総数としては医療施設や介護施設の方が圧倒的に需要が大きく、利益が上げにくい施設であるのが原因と考えられます。
一方では、介護施設とは逆に、給料は低くても自分のやりたい作業療法をじっくりと余裕を持ってできる職場であるケースが多いようです。やりがいを求める方にはメリットの多い職場と言えます。

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